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zoom RSS 「これまでの記事を撤回したい…」沖縄で私はモノカキ廃業を覚悟した (上)

<<   作成日時 : 2017/03/15 22:22   >>

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「これまでの記事を撤回したい…」沖縄で私はモノカキ廃業を覚悟した
素人が扱ってはいけないイシューがある
中川 淳一郎(ネットニュース編集者)
現代ビジネス2017年3月10日

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51162


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「高江ヘリパッド工事反対運動」「大阪府警機動隊員による『土人』発言」「『ニュース女子』沖縄ヘイト番組騒動」「オスプレイ配備反対」「辺野古工事反対運動」などなど、昨今、沖縄を舞台・題材にし、リベラル派と右派の衝突が続いている。

なかでも『ニュース女子』(TOKYO MX)が1月2日に報じた沖縄基地問題に関する報道が波紋を広げている。

市民団体「のりこえねっと」が「日当」を支払って反対派を沖縄に送り込んでいる、といった報道を行った。番組中では、高江では工事反対派があまりにも危険なため取材陣がこれ以上は入れない、といったリポートもしている。また、反対派を「テロリスト」扱いし、その「黒幕」として、のりこえねっとの共同代表・辛淑玉氏について言及した。

これを受け、辛氏らはBPO(放送倫理・番組向上機構)の放送人権委員会に人権侵害の申し立てをし、1月27日には「TOKYO MX-TV「ニュース女子」による沖縄ヘイト・デマ放送に関する沖縄・東京合同記者会見」を開いた。

沖縄県民として同番組の取材を受けた「琉球新報、沖縄タイムスを正す県民・国民の会」代表運営委員の我那覇真子氏らは、辛氏らに異議申し立てをし、公開討論を呼びかけた。それに対し、辛氏らからの返答はなく、2月24日に東京都内で会見した我那覇氏らは辛氏らの一連の動きについて「言論弾圧」と主張した。

2017年3月上旬の段階ではこのようになっている。


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我那覇氏らが登場する講演会の告知横断幕とオスプレイ反対の横断幕が並ぶ場所も (以下すべて筆者撮影)

私は2月18日〜19日にかけて、騒動の舞台である沖縄へ行ってきた。本稿では、沖縄の現状について書くのと同時に、インターネットにおける「発言」の重みについても考えてみたい。

ネトウヨとカウンターと私

発端は1月下旬に発した私のツイートだった。


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〈 頼むからのりこえねっととか辛淑玉とか極左は「沖縄VS他46都道府県」の構図を作ろうと頑張らないでくれないかな。地方に相当なカネを送ってるオレら東京都民(含む地方出身者)は日本全体の発展を望んでて、東北の復興も支援したいし、沖縄の負担も減らしたいの。日本の地域間対立なんて望んでない 〉

これが壮絶な抗議ツイートの嵐を呼んだことは言うまでもない。

私自身のスタンスを言えば、元々は、ネトウヨによる韓国人および在日コリアンに対するヘイトスピーチに反対していた。そして、ネトウヨを事あるごとに批判していた。ネトウヨからはツイッターで相当数の罵倒を受けたり、自分が関わったメディアに対する抗議デモを起こされたりもした。2010年から2013年あたりの話である。

そこに登場したのが「カウンター」と呼ばれる人々である。「レイシストをしばき隊(現・C.R.A.C.)」が2013年2月に結成され、「プラカ隊」などの分派ともいえる人々も登場し、在特会(在日特権を許さない市民の会)を中心とした嫌韓派と路上で対峙、「ヘイトスピーチやめろ」「レイシストは帰れ!」「仲良くしようぜ」と呼びかけたのだ。

結局、ネット上の嫌韓と路上の嫌韓は「養分」たる韓国による反日報道がなければあまり盛り上がらない。李明博前大統領の「竹島電撃上陸」などのニュースがあれば、韓国叩きは過熱するが、韓国経済の低迷などもあり、嫌韓運動は次第に盛り下がるようになっていった。

また、2013年以降は、しばき隊の登場のほか、大手メディアも積極的にこうしたデモを批判する報道をするようになり、「ネトウヨ包囲網」のようなものができつつあった。

多くのネトウヨにとって、2013年までの活動は「黒歴史」ともいえるものだろう。何せ「在日は弁護士試験の1次試験免除」などの荒唐無稽な説を信じ込み、さらに、「(韓流ドラマを流す)フジテレビは反日! フジテレビに多額の広告費を出す花王も反日、不買運動だ!」なんてアホなことをやっていたのだから。

挙句の果てには韓国食品メーカー・農心と提携した亀田製菓の「柿の種」や「ハッピーターン」をアマゾンのカスタマーレビューで「★1つ」をつけて罵詈雑言を寄せたりもした。

さらには「ソウルフード!」とツイートしたうえで、ラーメンの画像を公開した人物に対し「ラーメンは日本の食べ物です! 盗人猛々しい」と怒り狂うバカまで登場した。

しかし、徐々にネトウヨの勢力が弱まる中、反・レイシストの側では「内ゲバ」のような展開が目立つようになってきた。運動体というものは、一つの目的を達成してしまうと、往々にして内部や支持者で考えが少し違う者に対し攻撃の矛先を向けるようになるものだ。

昨年の都知事選で、鳥越俊太郎氏を野党共闘の神輿として支持した一派が、公認候補とならなかった宇都宮健児氏に対し攻撃的になったのが分かりやすい例だろう。

宇都宮氏は、リベラル側が分裂するのを避けた方がいいと考え、選挙戦から降りたのだが、その後鳥越氏の応援演説を頼まれる。ただし、鳥越氏の女性スキャンダル疑惑があったため、応援演説を断った。すると猛烈な攻撃をくらったのである。

宇都宮事務所には多数の批判電話やファックスが届いたという。「なにが日本のバーニー・サンダースだ!」といった、宇都宮氏にとっては困惑するしかない批判がかつての支持者(であろう人々)からも寄せられたという。

津田大介氏に諌められ

さて、こうした内ゲバ劇のうち、私が直接関与したのが「NEWSポストセブンアクセスランキング改竄事件」という実にくだらない騒動である。

私が編集するサイト・NEWSポストセブンに掲載した『「なりすまし」にフィフィさんへの悪口書かれた男性の反論』という記事のアクセスランキングが恣意的に下位に落とされたという推測を、反・レイシスト側の男がツイッターで述べたのがきっかけであった。

記事の詳細は省くが、基本的には在日韓国人男性の窮状を訴えたものである。そのランキングが急激に落ちたということは、この記事が上位にいて目立つことが我々にとって都合が悪いことだと男は指摘したのだ。どうも、我々をネトウヨ側のサイトだと思っていたようである。

私は男に対し、「アクセスランキングを恣意的にいじるようなことはしていない」と返事をし、そこから無意味なツイッターでの応酬が発生した。「カウンター」関係者からの罵倒などもあり、私は「ネトウヨはとんでもないが、カウンターもどうしようもないバカだらけだ」と考えるようになった。

元々私自身は超個人主義者で、社会問題に対してはほぼ関心がない。右も左もなく、「何が起ころうが、自分が荒波を乗り切るだけの能力をつけておけばいい」としか考えていない。正直、「なるようになれ」としか思っていないのだ。

その後、「カウンター」内部で「追放騒動」やら「リンチ事件」などがあり、「ちょっと過激過ぎでは?」と活動に異議を呈するものなら、彼らは集団で一斉に、罵倒ツイートを浴びせてくるようになる。

私はだんだん「どっちもバカだが、ネトウヨの方がカウンターよりマシ」といった感覚を抱くようになっていった。そして、「のりこえねっと」もカウンターと関係が深いため、「敵の味方は敵」論法により、私は冒頭のツイートを発したのだった(前置きが長くなって申し訳ない)。

これに対し、メディアアクティビストの津田大介氏からリプライが来た。


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〈 2時間の記者会見全部見たけどそんな構図を作るようなものじゃなかった。あまりに酷いことをされて言葉を失っている中、何をどう話せばいいのかというものに見えた。見てないなら見た方がいい。構図は「沖縄VS他46都道府県」ではなく「沖縄vs現政府」なんだよ。〉

このリプライの後、津田氏から、ツイッターのDMでこんなメッセージが送られてきた。

〈 ネトウヨ巻き込んでツイッターの憂さ晴らしのネタに沖縄は使わない方がいいし、そうしてほしい。俺、2月に2回沖縄行くから、もし予定が合うなら一緒に行こう。2/9〜2/10 と 2/18〜20 〉

私はすぐに返事をした。

〈 諫めてくれてありがとう。18〜20、一緒に行きたい。場所は高江? 〉

津田氏と私の関係はといえば単純で、「同学年の友達」である。そんな友達から、「キミの認識は間違っている点がかなりあるから、一回現実を見ろよ」と苦言を呈されたのだった。友からの提案には乗るしかないではないか。

かくして私は津田氏とともに沖縄へ行き、現地で色々な人と会うことになったのだが、その間、カウンター側と付き合いが深く、辛氏に対して理解を示す精神科医の香山リカ氏から、私に対する批判ツイートが届いた。私は「沖縄に行って勉強します」と返事した。

すると、香山氏からはこうリプライが来た。


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〈 現地に行かれても偏った情報提供者にお会いになれば意味はありませんから(その点まさに辛さんの会見で指摘されていること。抑圧されている地にはしばしば抑圧する権力者に「感謝してます」と語るインフォーマントがいるものです)、どうぞ「正しく」勉強なさって来てください。〉

もう完全に、私が沖縄在住の右翼と会い、反対派批判の論拠をより強化すると考えているような指摘である。香山氏には津田氏の名前は挙げず、「『ニュース女子』の報道に激怒している人と一緒なので、真逆です」と返事をした。

このように、沖縄をめぐって、「右か左か」「基地に反対か賛成か」という二元論で外野が言い争うような状況が出来上がっている。しかも、勝手な憶測をベースとする批判がまかり通っているフシがある。香山氏の私に対する意見は完全にその類だろう。冒頭の私のツイートも同様である。

オレはもう沖縄について語れない…

かくして私は沖縄へと旅立った。

1泊2日という短い時間ではあったが、この2日間で私は「モノカキ」という仕事を廃業せざるを得ないとさえ思い詰め、これまで専門領域外の問題についてしたり顔で語ってきたことを心の底から反省した。

私はネットニュースの編集者を長く続けているだけに、もちろん、ネット空間の特徴や炎上問題については専門家として自信を持って発言できる。しかしながら、そこでやりとりされる専門領域外の問題、例えば生活保護や待機児童問題、在日、日韓関係、そして沖縄については、安易に発言すべきではないと感じたのだった。

今回、話を聞いた相手は沖縄国際大学の前泊博盛氏、関東地方出身で現在は沖縄在住のジャーナリスト・X氏、そして福島の原発問題に声を挙げることで知られるパンク・ロックバンド「ザ・スターリン」の遠藤ミチロウ氏(音楽フェスで沖縄を訪れていた)、高江のN-1ゲート前で抗議活動をする30代の女性・P氏と、テントを訪れる高齢女性・Q氏、そして、元沖縄県知事・大田昌秀氏が理事長を務める大田平和総合研究所の職員・Z氏だ。

本来なら、彼らの意見を事細かに報告したいところではあるが、それはまた別の機会に譲り、本稿では、彼らの発言を紹介しつつも、あくまで私自身の「主観」を書いてみようと思う。

なお、今回の沖縄取材は、津田氏と津田氏のアシスタント・I氏、福島原発事故の際にNHK・ETV特集『「ネットワークでつくる放射能汚染地図 〜福島原発事故から2か月〜』に関わった独協医科大学准教授の木村真三氏、同氏の絵画の先生である「R先生」の5人で動いた。

「結局サヨクが集まってサヨクに取材しただけだろ」と言うならば言え。あなたたちのそんな甘い発言なんてオレにはどうってことない。オレはもはや沖縄について語る資格は一切ないと悟ってしまったのだから。

今回の取材の最大の収穫は、「素人が扱ってはいけないイシューがある」「専門家及び当事者に任せよう。外野は安易に発言してはならない」ということを実感できたことである。沖縄を左と右が勝手に係争の材料にしている今、沖縄問題については専門家と当事者に返すべきである、というのが私の結論だ。

だから2月19日17:30、那覇空港で津田氏、木村氏、I氏と別れる時、恥ずかしながら涙をこぼしてしまった。そこには「右」も「左」もなかった。ただ単に、モノカキとしての自分の薄っぺらさを思い知ったとともに、同行した4人(R先生は先に帰っていた)に対して純粋な感謝の気持ちを抱いたからであった。

冒頭のツイートにも見られるように、私はこれまで、沖縄についてあまりにも軽々しい発言をしてきた。しかし、ここまで剥き出しの状態で「安保」や「中国の脅威」が日常の中に存在するエリアが、日本の他の都道府県にあるだろうか……。


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普天間基地に配備されたオスプレイ。沖縄国際大学の会議室から撮影

「沖縄独立論」が顕在化する背景

那覇空港からレンタカー店に向かうシャトルバスの中では、AMラジオの正午のニュースを聞いた。

1つ目のニュースは、米兵がアパートに忍び込んだというもの。2つ目は尖閣沖に中国の漁船が2017年に入って11回目の来襲をしたというものであった。そして、米軍戦闘機の爆音も聞こえてきた。

この段階で「沖縄はオレが訪れたこれまでの日本とは違う」という感覚を抱いた。沖縄に来たのは12年ぶり2回目だが、その時は物見遊山気分で来ていたため、こうした感覚は抱いていない。

放射能関連のプロジェクトに関わり、福島に移住するまでに至った木村氏が、「沖縄の問題は福島の問題に近いですが、より深い……」と事あるごとに言っていたが、その後、それが実感となるのである。木村氏は津田氏同様、ここしばらく何度も沖縄を訪れている。


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沖縄国際大学、ヘリ墜落の現場

まず、訪ねたのは米軍普天間基地に隣接する沖縄国際大学だ。2004年8月、米軍のヘリコプターがキャンパス内に墜落した際、米軍が現場を制圧したため、日本政府が手出しできなかった事件の舞台である。

事故現場はフェンスで囲まれ、墜落で焼け焦げたアカギの木は今も本館壁の記念碑とともに残っている。同大学の会議室の窓は防音構造になっているが、窓を閉めていてもオスプレイや軍用ヘリのエンジン音が常に聞こえてくる。

前泊博盛教授はこう語った。

「佐賀県にオスプレイを配備するという計画が出ましたが、その時佐賀で反対運動が起こりました。わが身に降りかかって初めて、本土でも、米軍基地問題が自分達の問題だと捉えられたのではないでしょうか」

そして、「沖縄独立論」及び「日本返還後の沖縄」について前泊教授はこう続けた。

「安倍政権誕生前は、沖縄独立論は、県民の意識の中には0.2%とか0.3%しかなかった。それが今では6〜8%に確実に数字が上がって、顕在化しています。『日本以外の選択肢』も考える県民が増えているように感じます。米軍統治下から戻るべき祖国と思って運動してきたはずの沖縄県民が、なぜそう思い始めているのか。

米軍統治下に里子に出され捨てられた沖縄は、親(祖国)のはずの日本からの「仕送り」もなく、極貧生活を強いられた。財産権も基本的人権も否定され、銃剣とブルドーザーで土地を奪われ、基地被害に耐える日々を送ってきた。ようやく復帰を果たしても米軍基地を押し付けられたまま。

『なんで僕だけに背負わせるのか。必要ならみんなで背負ってよ』と訴えても、『お前、そのためのカネ貰っているだろ』と言われる。翁長雄志知事が『それなら振興策はいらないから米軍基地を除けろ』とやると、逆賊扱い。ひどい話です」


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琉球独立を掲げる政治活動家による幟

この発言を受け、福島原発事故における放射能問題にも取り組む木村氏がこう語った。

「沖縄には薩摩による侵略、明治維新後に行なわれた琉装(琉球の民族衣装)、ウチナーグチ(琉球語)が禁んじられた琉球処分の歴史があります。その上に敗戦による米軍統治の歴史が重なります。歴史的に見れば、沖縄の問題はとても長いのです。

しかし、福島は最近の話です。『白河以北一山百文(しらかわいほく、ひとやま、ひゃくもん)』、戊辰戦争に破れた奥羽地方(陸奥(むつ)国と出羽(でわ)国。今の東北地方。青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島の6県)を二束三文の地と蔑んだ言葉です。このように虐げられてきた歴史はありますが、沖縄が被ってきたものよりは浅いのです。

福島の問題は、『日本』だから単純です。でも沖縄は日本であって日本でない歴史を抱えています。沖縄に学ぶところは多いですが、これから何十年もかけて意識レベルを上げなくてはいけないのが福島です。

『もういい加減、勘弁してくれよ』と政府に怒りをぶつけ、翁長雄志県知事が掲げた『オール沖縄』に至るには、かなり長い時間がかかり、ものすごい思惑がありました。名護市辺野古の埋め立て承認の取消し訴訟における最高裁での事実上の敗訴、沖縄地方選での『オール沖縄」の候補者が次々と落選したことで、今は『オール沖縄』は崩壊しかけていると思いますが」

木村氏は福島の問題に取り組んでいるものの、このように、沖縄問題については「別格」と考えているようだ。


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辺野古のキャンプシュワブフェンスに掲げられた工事反対の旗

この木村氏の指摘が私の考えにも多大な影響を及ぼした。沖縄に到着してから1時間後にはステーキ店「ジャッキー」で誠に美味なるステーキを食し、渋滞の中、沖縄国際大学に到着し、米軍ヘリの墜落現場を見て前泊先生と木村氏の会話を聞いただけで、「こりゃオレは浅はか過ぎたな……」と、すでに反省の念を抱き始めていた。

津田氏はこう語った。

「基地問題一つとってみても、沖縄県民にいろいろな意見があることは事実です。だけど、県民の意識が“バラバラ”で沖縄二紙が反対の意見しか取り上げていないというと、それも事実と違う。

辺野古移設問題の世論調査をすれば、8割近くが翁長知事の行動を支持していますし、メディアではなく、沖縄県が行った県民向け意識調査でも辺野古移設反対(58%)が賛成(25%)の2倍以上となる結果が出ています。

昨年行われたこの意識調査はとても興味深くて、例えば米国に対する親近感を見ると『親しみを感じる』層は55.5%。『親しみを感じない』層は42.2%と拮抗していますが、これが『日米関係は現在重要か』という問いになると『重要である』と答えた層が73.7%まで増えています。

一方、対中感情に関しては『良い印象を持っている』が8.3%。『良くない印象を持っている』が90.8%と圧倒的に悪い。実は後者の数字は全国平均(日中共同世論調査)の88.8%よりも高いんですね。全国平均より悪い対中感情持っている県民が『中国のスパイ』であるわけないですよね。

これらの数字から読み取れることは何か。対米感情は本土と比べると悪いが、中国の脅威は肌で感じており、それが対中感情の悪さと日米安保への評価につながっている。しかし、辺野古移設は反対である。つまり、沖縄県民は日米安保の『最前線』で暮らしているがゆえに、現実主義にならざるを得ず、それがこうした複雑な県民感情につながっているということです。

日米安保や国防の重要性は一定程度認めるし、それを担っている自負やプライドもある。しかし、本土側はまったく配慮せず、負担を押しつけ、固定化することを繰り返す。それに対して「いい加減にしてくれよ」と思っている県民が多いから、辺野古移設を調査するとこういう結果になるということなんです。単に「基地反対」かどうかで沖縄を見ても状況は見えてこない。

さらにいえば一口に『反対』といっても、『全基地撤去しろ』と思ってる人だけでなく、『ほかの基地は認めるが辺野古移設は反対』という人もいる。あるいは『凶悪犯罪を起こす海兵隊が撤退してくれればいい』と思っている人もいる。『全基地撤去派』以外の人は『基地反対派』とも言えるし『基地容認派』とも言える。それだけ考え方に色々なグラデーションがあるんです。

だけど、ネットで見ると、極端なところだけが切り取られて語られてしまう。僕自身そうしたことは沖縄で何度も取材することで見えてきた部分でした。

そして、さらに厄介なことに、沖縄の多くの人は本土の人間になかなか本音を話してくれないんですよね。それは沖縄の歴史や事情を知らない本土人が思い込みに基づく印象批評を繰り返した結果、『この人たちに話してもムダだ』と沖縄の人たちが思うようになった結果でもあるんでしょうが……。

基地が政治的課題である以上、うるさいし、なくなった方がいいと思うし、本土にもアメリカにも言いたいことはあるけど、『自分がいうことではないかな』と考えている人も多いんじゃないかと思います。反対運動に身を投じることはできないけど、シンパシーは感じている――だから、投票では基地反対派に投じる。あるいは、シンパシーは感じているけど地域社会のつながりから基地容認派の候補に入れるということもあるでしょう。

本土の人間はそうした沖縄の方々が抱えている複雑な事情を知るべきだし、その原因をつくっているのは自分たちであるという自覚を持つ必要がある。それをしないで、お手軽にネットで沖縄の情報を見ている限り、こうしたすれ違いは永遠に続きます」

木村氏が続ける。

「沖縄についてネットで語る人々を見ていると、表面だけをさわり、中身を突き詰めていない人が浅い議論をしていると感じます。足繁く通っても、まあ分からないものです。

僕は元々、愛媛県出身で四国電力伊方原発から45キロの場所で育ちました。福島に移住してから6年。地域の人々と寝食をともにして、ようやく皆の気持ちがわかってきたと思った矢先、びっくりするような真実が飛び出てくるんですよ。

『そったら大事なことなんで言わねんだ!』と地元の人に言うと、『言ったらよ、先生さ来なくなると思ったんで言えなかったんだよね』なんて言う。目が点になることもしばしばです。それは笑うしかないんですよ。笑っていいよっていうところからスタートしなくてはいけないんです」

内地の人間が自分たちの論理で動くから…

この日の夕方、関東地方出身で沖縄在住のジャーナリスト・X氏に話を聞いた。X氏は、沖縄の人々のことが「今でもよくわからない」と言う。

「取材した後、その相手と一緒にバーに行ったりするわけですよ。すると真逆のことを喋り始める。本音で語ってもらった時に愕然とするんです。沖縄には表裏一体で両方の意見を持ってる人が多い。会う相手によって言うことが変わる。Aパターン、Bパターン、Cパターンというように、一人の人間であっても違うことを言うんです。でも、どれも本人なんですよ。ウソをついているわけではありません。

私も全国各地で取材をしてきましたから、『大体これがボリュームゾーンの意見だろうな』という直感が働くのですが、沖縄ではそれが通用しない。山でなく、カステラみたいなんですよ。どこを切っても沖縄の声ではあるものの、突出した意見がない。だから、考えれば考えるほど沖縄のことが分からなくなってくるんですよね」


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また、X氏は、翁長雄志県知事が掲げる「オール沖縄」の行く末を決める一つの要素にもなると言われた2016年1月の普天間飛行場を抱える宜野湾の市長選について、さらに、沖縄県外人を意味する「ナイチャー」が沖縄で活動することについても語ってくれた。

同選挙は、辺野古移設反対を掲げる「オール沖縄」側の志村惠一郎候補(野党4党が支援)と、移設を争点にしなかった佐喜眞淳候補(自公が推薦)の一騎打ちとなった。55.92%を獲得した佐喜眞候補が勝利し、ジャーナリストの野嶋剛氏は「宜野湾市長選の敗北 『翁長時代』終わりの始まりか」という記事を執筆した。

X氏はこう続ける。

「宜野湾市長選の大惨敗は、選挙前に共産党系の団体400人が東京から大挙して押し寄せたことが影響していると語る人もいます。彼らは各家庭を訪れ、『辺野古移設を容認してはダメです!』と主張して回っていました。これにうんざりしてしまった人もいた。

宜野湾市民にとって『辺野古』という言葉がどれだけの意味を持つのかを、大和の人が知らなかったという側面もあったのかもしれません。本土から辺野古の工事を実力で止めることにすごく否定的な意見を言う人もいますが、沖縄県民からすると、『なんでナイチャーが来て、混乱させるんだ?』となる。

さらには『ナイチャーが争いの原因作っているのでは?』と感じる人もいる。内地から来た人が、沖縄の複雑なまなざしを分からず、自分たちの論理で動くとおかしなことになるんです」

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