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zoom RSS ZAKZAK連載:高橋洋一 2011「日本」の解き方・・・東京電力関連コラム(5月)

<<   作成日時 : 2011/06/10 14:18   >>

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官僚や東電のトップ占める「東大文系」エリートの限界、前例ない有事の対応苦手
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110510/plt1105101547003-n1.htm

2011.05.10.連載:2011「日本」の解き方

 東京電力ってどんな企業だろうか。超のつく優良安定企業だ。役所とほとんど同じだ。

 企業のイメージを一つの指標で語るのは難しいが、社長の出身でみてみよう。東電の清水正孝社長は慶応大学出身で、私立大学出身の社長は東電では初めてのケースだ。ところが、これまでの東電社長の出身大学学部を見ると、東大法学部・経済学部ばかりだ(東洋経済新報社「役員四季報」1989〜2010年調査)。

 他の電力9社では、理系出身者の社長が目立つが、東電だけは現社長の清水氏を除き東大文系ばかりだ。もちろん東電にも理系出身の役員はいるが、取締役に占める比率は低く、しかもせいぜい副社長止まりだ。

 この構造は、霞が関の役所とそっくりだ。主要官庁では国交省を除いて理系出身の事務次官はほとんどおらず、文系、それも東大法学部・経済学部出身の事務次官が多い。その東大文系官僚が多くの幹部ポストを占めている経産省から東電への天下りが続いていたが、それも東大文系での同窓気分かもしれない。

 今年1月1日付で、東大法学部卒で前資源エネルギー庁長官の石田徹氏が顧問として天下りした。顧問で天下って、その後副社長になるのが「お約束」だ。これで1962年以来ほぼ切れ目なく文系天下り官僚が東電役員になっていた。そういえば、経産省原子力安全・保安院で記者会見を担当していた西山英彦審議官も東大法学部卒だ。

 このように東大文系がトップになる企業は、銀行などでも見られる。共通しているのは規制業種であることだ。規制業種の場合、監督官庁の意向が企業業績に大いに影響する。となると規制官庁の情報を入手している者が社内でも影響力を持つ。

 監督官庁が東大文系官僚である場合、出身大学学部が同じであれば同窓のよしみで接触しやすいので、結果として、東大文系が企業のトップになる可能性が高くなるのだろう。銀行において、大蔵省から情報入手を目的とする大蔵省担当(いわゆるMOF担)が経営トップになるのはよく見られたパターンだ。

 ところが、このような東大文系トップは平時の監督官庁からの情報入手に強いが、想定外の事故処理が下手で危機対応時に弱い。銀行でも1990年代の不良債権処理を放置したまま、90年代後半の金融危機でうまく対応できなかった。

 文系は理系に必修の実験をやらず机上の議論が多い。その典型例はペーパー試験に強い東大文系官僚だ。彼らは前例のあることには強いが、未曾有の事態の対応は苦手だ。容易な問題ばかり処理して、難易度の高い問題をスキップする能力がペーパー試験人生で身につくようだ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


電気料金値上げで賠償する政府案 国民負担数兆円増、経済成長にも悪影響が
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110512/plt1105121541001-n1.htm

2011.05.12.連載:2011「日本」の解き方

 東京電力福島第1原発事故への賠償スキームが新聞紙上を賑わしている。

 今の段階では被害総額を確定できないので、17日にも予定されている東電の決算発表に間に合うように、賠償スキームの検討を急いでいるとも報じられている。もしその通りならば本末転倒も甚だしい。復興の話が進んでいない中で、東電の賠償スキームの検討が早いのは異様だ。

 東電の賠償は原子力損害賠償法に基づいて行われるが、政府関係者の話のように東電に免責がない以上、東電が責任をもって行うこととなる。一方、東電の責任を超える部分は政府、つまり国民が持つことになるだろう。ということは、賠償額は東電負担分と国民負担分を加えたものになる。

 東電負担分は、東電のステークホルダーである株主、債権者、経営者・従業員のいずれかが負担する。それぞれ減資、債権カット、リストラとなる。リストラは見た目は派手だが、金額的には少ない。株式にはリスクがつきものということから考えると、東電負担はまず株主が負うべきだろう。

 債権者は担保権付きのものもあって問題が複雑だが、担保でカバーされていないところのみならず、負担すべきであるという考え方もありうる。担保があって先取特権があるという議論もあるが、被災者の補償に回した後に資産がなくなれば担保もなにもない。

 国民負担分は、東電が逆立ちしても鼻血がでないようになって、初めて生じる。国民負担は税負担と電力料金引き上げに分かれる。

 これは賠償額をどのように負担すべきかという私の考え方であるが、政府の今の方針とは違っている。賠償機構を作るとかいうが、肝心なのは賠償を誰が負担するかだ。

 海江田万里経産相は、株主を守るといっている。となると、債権者も当然守られる。一定のリストラは行われるようであるが、いってみれば東電を温存しながら、数兆円程度も国民負担が増える。

 さすがに、国民負担といっても、東電の責任を増税で賄うのは、国民感情からも無理なので、政府がつなぎ資金を出しながら、最終的には長期に及ぶ電力料金引き上げになる。

 ただですら日本の電力料金は米国の2倍以上で国際的にも高い。これまで電力料金は高いが安定供給であるからいいと電力会社から説明されてきたが、計画停電や今後の原発の見直しで安定供給も怪しくなってきた。安定供給でなくて、電力料金が高いなら、生産拠点は海外に行くかもしれない。

 政府方針は、東電つまり株主や債権者を守りながら、部外者である広範な電力利用者に負担を強いるので、今後の経済成長のためにも大きな問題がある。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


東電温存で笑う株主と債権者 数兆円の負担で泣くのは国民
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20110517/dms1105171552018-n1.htm

2011.05.17連載:2011「日本」の解き方

 東京電力の福島第1原発事故による賠償がどうなるか。政府はその賠償スキームを決めた。

 ずばりいえば、東電温存である。東電を存続させる場合、誰にメリットがあるのか。まず株主だ。それが正直に現れているのが、東電の株価である。東日本大震災が3月11日午後2時46分に起こった。さすがに、当日の株価には地震の影響はあまり反映されず、11日の終値は2121円だった。ところが14日以降は釣瓶落とし状態で、4月6日の337円まで急落した。この動きは、原発事故の甚大さ、それに伴う賠償に東電が耐えられないことを市場は早くも見切って、株はただの紙切れ、つまり株価ゼロに向かっていた。

 ところが、そのあたりから、東電温存の賠償スキームが報じられるようになる。すると、報道内容によって株価が上下するようになった。東電を温存し、奉加帳方式で他の電力会社に負担がまわるというスキームが報じられると、他の電力会社の株価が落ちて、東電株価が上昇するといったときもあった。5月11日は、東電温存スキームが確定したこともあってボトムの4月6日以降の最高値の525円だった。

 債権者もほっと一息だろう。電気事業法37条に基づく一般担保が付されている社債はかなり保護されるとしても、担保カバーのない債権まで保護されるので、債権者は願ったりかなったりだ。 東電社長が自ら政府の救済を求めるなど、賠償額が東電の支払い能力を超えているのは明らかだ。今でも破綻していても不思議でない。そうであれば、債権の一部カットが行われるが、それを債権者は免れている。

 次は従業員だろう。ほんの気持ち程度のリストラは行われるが、企業年金カットなどの本格的な荒療治は行われない。労働組合出身者が多い民主党政権だったので、高給取りの従業員も含めて救われ、さぞかし安堵しているだろう。

 その一方で、それらの負担軽減は、いまでも高い電気料金の一段の値上げなどで家計や企業にはね返ってくる。その金額は数兆円程度だろう。企業が電力料金値上げを製品価格に転嫁するとして、国民1人当たり数万円程度の負担増になって、これを一定期間で分け合うことになるだろう。

 さらにまずいのは、東電温存で送発電の分離が行われず、地域独占が継続されることだ。仮に東電を解体し、東電の送電網の売却を行えば、発電分野での新規参入があって、電力料金は逆に下がる。こうした送発電の分離は、欧米の電力自由化では当たり前だ。

 結局、東電温存策で得する人は、これまでの電力の地域独占にあぐらをかいてきた既得権者だ。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


スカスカの東電賠償スキーム 反映してぶれた枝野長官発言 解体や法的整理に踏み込めず
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110519/plt1105191529001-n1.htm

2011.05.19.連載:2011「日本」の解き方

 政府は13日、東電の賠償スキームを決定した。もっとも決定は閣議決定ではなく、関係閣僚会合決定だ。これだけで腰が引けているのがわかる。

 実のところ賠償スキームは揺れ動いている。大型連休前に官僚サイドからリークされたものは、東電を温存し、株主・債権者負担なしで電力料金値上げによって賠償するという考え方が明確だった。

 しかし、13日に発表されたものは、東電を温存するなどの基本形は連休前と同じであったが、金融機関を含めて全てのステークホルダーに協力を求めることや国民負担の極小化を図るという文言が入り、賠償の負担関係が不明確になった。連休前より国民負担は少なくなっているともみれるのか単なるリップサービスなのか賠償スキームの中身がなくスカスカになった。

 こうした動きを反映して、枝野幸男官房長官の発言もぶれていた。賠償支払いについて政府・民主党は電気料金の値上げでと公言していたが、賠償スキーム決定直前の12日になって、枝野官房長官は「電気料金の値上げによらず賠償する」と発言した。

 また13日には、枝野官房長官は「金融機関の貸し手責任」に言及したが、震災後の1兆9000億円の融資については、政府からの要請もあったので別と発言している。なお、株主の責任については言及していない。一般的に、貸し手責任が問われるならば株主責任も当然である。

 このような政府内の混乱について、長谷川幸洋東京新聞論説副主幹は13日に資源エネルギー庁が開いた各紙の論説委員懇談会で細野哲弘長官が「私たちの苦労はなんだったのか」と、それまで被災者より株主や金融機関を優先してきた本音を漏らしたことを暴露している。

 東電処理について国民からの批判が強いことを考慮したのだろう。しかし、現時点では「ただちに」東電を解体しないで温存していくが、将来は送発電の分離など電力の自由化を考えていくというのは無理がある。これまで口で電力自由化といってきたのと同じだ。東電を温存すればまだ体力がないとかいって時間稼ぎして、結局送発電分離はできなくなる。

 東電解体だと電力供給が継続できないとか、法的整理すると賠償請求ができないとかいうプロから見れば意味のない脅しに政策が屈している。

 また貸し手責任を求めると金融機関は東電がつぶれると脅すが、送発電分離まで考えると解体のほうがいい。電力料金収入や政策金融機関があるから金融機関の追加融資なしでもキャッシュフローで困ることはないだろう。電力の自由化を阻止する既得権者が笑っている。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)


東電救済スキームに重大問題 国民負担の「極小化」に抜け穴 政府案で発送電分離は無理だ
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110520/plt1105201557002-n1.htm

2011.05.20.連載:2011「日本」の解き方

 13日に決定された東電賠償スキームの舞台裏攻防とその後をのぞいてみよう。

 5月の連休前から経産省、財務省と金融機関らで賠償スキームが練られていた。その骨子は賠償の支援機構を作るが、賠償は電力料金値上げによって長期間で賄うものだった。そのために政府は資金援助などを行うが、それはあくまでつなぎ資金で最終的には税負担にならないようにしている。また東電は経営合理は行うものの温存される前提になっている。そのため、株主・債権者への負担はなかった。

 ところが、13日に閣僚懇談会(閣議決定ではない!)で決定されたスキーム文には、基本的に東電を温存し株主・債権者は責任を負わないという考えは同じであるが、その前に「全てのステークホルダーに協力を求めること」や「国民負担の極小化」などの文言が入っている。

 前回の本コラムで言及した枝野幸男官房長官の「貸し手責任」という話はステークホルダーへの協力要請の一環だ。

 また、「国民負担の極小化」は最終的な決定の直前に「国民負担の最小化」から書き直されたという報道がある。

 一般の人の言葉のイメージでは「極小化」は「最小化」よりも強く、極めて小さくするという印象であろうが、厳密にいえばそうでない。

 英語でいうと、最小はMINIMUM、極小はMINIMALである。理系分野で両者は区別され、最小は必ず極小であるが、極小は必ずしも最小ではない。

 山と谷が何回も交互にあるとしよう。極小とは数ある谷の部分で、最小とはそのうちで最も低いところだ。例えは、料金値上げが2割になりそうなときに、カットして1割値上げで抑える案と別の料金値上げなしの案がある場合、1割カットでも「極小化」として正当化されるだろう。もちろん本来は「最小化」の値上げなしをとらなければいけない。

 さらに、重大な問題もある。13日のスキーム文では、電力事業形態の見直しは賠償スキームと別に検討すると書かれている。実際、玄葉光一郎政調会長(国家戦略相)は、東京電力の発電部門と送電部門を分離する案に言及し、東電温存の賠償スキームとは別に考えている。しかし、この考え方では結局送発電分離ができなくなるだろう。

 というのは、賠償のために東電を温存するので、5兆円の送電網は賠償期間中は事実上売却できない。となると、政策としては送発電分離はできなくなってしまう。資産側の送電網は大きいので、同時に負債側の株主・債権者の整理も同時で行う必要があるのは、東電のバランスシートをみれば明らかだ。東電温存スキームで送発電分離は遠のいた。(元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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