長谷川幸洋「ニュースの深層」…指揮権発動を助言したのは滝法相との情報も!

長谷川幸洋「ニュースの深層」
指揮権発動を助言したのは滝法相との情報も!
小川前法相が国会で追及した「陸山会事件でっちあげ捜査報告書」を書いたのは誰か
現代ビジネス2012年06月22日(金)



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 検事による虚偽の捜査報告書問題で、小川敏夫前法相が6月19日に参院法務委員会で稲田伸夫法務省刑事局長を徹底追及した。小沢一郎民主党元代表の陸山会裁判にかかわる石川知裕衆院議員(小沢の元秘書)に対する捜査報告書(2010年5月17日付)である。この報告書がでっち上げだった事実は、インターネットに流出した石川の隠し録音記録によってあきらかになっている。

 質疑の中で、小川は事件の核心に迫る重要な疑問を提示した。

 問題のデタラメな捜査報告書を作成したのは、書面にある報告者名から東京地検特捜部の田代政弘検事(当時)とされてきた。ところが小川は、実は佐久間達哉特捜部長が手を入れたのではないか、と指摘したのだ。そうだとすると、事件の構図がガラリと変わる。

 新聞やテレビで法務省は田代を停職、佐久間については監督責任から戒告など人事上の処分にとどめる方針という報道が相次いでいるが、そんな甘い処分ですむのだろうか。

「佐久間自身が書いたのではないか」

小川前法相: 私がこの捜査報告書を読んで、おやと思うような記載が、形があったんです。(2010年)1月16日以降、何日かにわたる取り調べについてやりとりは検事と石川の問答形式で記載されている。それが3項です。ところが4項がある。ここの部分は問答式になっていない。文章式になっている。

 こういうことは誰かが書いた文章に他人が手を入れるとこういうことがよく起きる。これは私の考えですけれども。きょう(12年6月19日)、朝日新聞で副部長が特捜部長にあてた捜査報告書が、実はそれが特捜部長が書いたものだという記事があった。この記事の真実性はどうですか。

稲田刑事局長: その点について現在、調査しているところと承知している。

小川前法相: 副部長が特捜部長あてに作成した捜査報告書の主要部分が田代報告書の虚偽部分に大幅に引用されている。副部長が自分あてに書く文書を副部長に任せていられないから自分で書くといって自分(注・特捜部長)が書いたんなら、そこに引用されている文書も平検事に書かせていられないから私(同)が作ったと。そんな気もするんですがね。これは私の推理ですから、別に答弁はいらないです。

 以上だ。

 どういうことか。問題の田代報告書は計7ページからなっており、そのうち小川が指摘した第3項については、発言者ごとに改行しながら、「石川:・・・」(改行)「本職:・・・」という構成で約4ページ分を費やしている。

 ところが第4項になると、こういう問答スタイルではなく突然「本職が・・・と問うたところ、石川は・・・と言うので(本職が)・・・と申し向けると・・・と答えた」という、書き下しスタイルに変わっているのだ。実際の文章は最初から最後まで長い一つの文になっている。分量にして1ページ弱だ。

 3項と4項であきらかに文章スタイルが変わっている点をとらえて、小川は実際の筆者が田代だけではなく、実は佐久間自身が書いたのではないか、と指摘した。

検察審査会に向けた捜査報告書

 小川質問にある朝日新聞の記事は、(10年)5月19日付の斎藤隆博副部長が佐久間部長にあてた「再捜査の結果を踏まえた証拠の評価等について」と題された別の報告書は、実は佐久間部長が自分あてに書いたものだったと報じている。日本経済新聞も一足早く同じ内容を報じている。

 副部長の自分あて報告書を自分で書くくらいなら、平検事の報告書にも自分が手を加えたって不思議はない、というのが小川の見立てである。しかも、特捜部長が書いた副部長名の報告書にはデタラメの主要部分が引用されていた。

 小川質問は、そもそも捜査報告書はどんな目的で作られたのか、という点にも迫っている。それは報告書の冒頭に長々と記された以下の部分だ(一部要約)。

〈 取り調べの冒頭、本職が「貴方はすでに政治資金規制法違反の事実で公判請求されており、被告人の立場にあるので、取り調べに応じる義務はないということは理解していますか」と質問したところ、石川は「その点については、弁護士からも説明を受け、よく理解しています。(中略)検察審査会が起訴相当の議決をしたのを受けての再捜査でしょうし、私自身も深く関与した事実についてのことですので、本日は任意に取り調べを受けることにして出頭しました」旨述べ、取り調べに同意した。 〉

 奇しくも、ここも書き下しスタイルだ。この部分について小川は質疑でこう指摘した(一部要約)。

〈 任意だから応じなくてもいいんだけど、任意に供述したという10行の部分ですね。(中略)これは内部に報告するための文書じゃないな、と感じました。(中略)田代検事もプロ、特捜部長も検察のプロ、その上司も全部プロですよ。(中略)であれば、1行2行の記載で済んじゃうんです。(中略)これはプロを相手に出しているんではなく、実務を知らない素人が読むことを想像して書いている文章じゃないか、と私は推理している。 〉

 つまり、初めから素人の集まりである検察審査会に向けた捜査報告書であるという。さらに、小川は捜査報告書が実際にはなかった(2010年)1月16日、17日、18日、19日のやりとり(問答形式の記述)をでっち上げた動機にも迫った。

 このやりとりは「石川が(10年)5月17日の取り調べで供述調書への作成を拒んだから、(同)1月の供述プロセスを日にちごとにふりかえって、ようやく作成するのを説得した」という構図でつくられていた。ところが録音記録によれば、石川は初めから調書作成を拒否していない。小川はそう指摘した。

小沢事件の構図全体が崩壊する可能性

 なぜ、田代(あるいは佐久間)はわざわざ、石川の調書作成拒否というような、手の込んだ架空話をでっち上げたのか。小川は国会質疑でその理由について追及しなかった。そこで20日午後、あらためて小川に会って質問してみた。

 小川は「それは(10年)1月19日の供述調書の信用性を検察審査会のメンバーに強調するためでしょう。渋る石川をようやく説得して供述調書に署名させたという話にすれば、それくらい1月19日の重要性を印象づけられると考えたのではないか」と答えた。

 1月19日の供述調書とは何か。そこには小沢事件の核心である、りそな銀行からの借入である4億円について「小沢が『おう、わかった』と言って賛成してくれたのでした」という石川の供述が記されていた。

 つまり、こういうことだ。捜査報告書は内部向けではなく素人の検察審査会に対して、石川の供述がいかに任意であり、しかも自分がなぜ本当のことを話す気になったかという事情を印象づける狙いだった。それによって供述の信頼性を高めようとしたのだ。

 小川は元裁判官かつ元検事らしく、こうも分析した。

「あれだけの架空話を実際に石川を長時間、調べた田代が思いつくのは考えにくい。本人から話を聞いていれば、どうしてもそちらに引っ張られる。頭の中で作った話をさらさらと書けるのは、実際に話を聞いていなかった人間でしょう」

 そうだとすれば、それは佐久間だったのではないか。

 そう考えると、法務省が田代に対する厳しい法的処分を決められないのも理解できる。もしも田代が法曹資格を剥奪されるような厳しい事態に直面すれば、そこで田代は開き直って捜査報告書執筆の真相を暴露するかもしれない。そうなれば、小沢事件の構図全体が崩壊する可能性が出てくるのだ。

重要書類のネット流出は内部告発か

 佐久間が書いたと報じられた副部長名の報告書も検察審査会に提出された。検察は本来、なぜ小沢を不起訴にしたのかを検審に説明すべき立場である。

 ところが、報告書は「年間450万円もの金利負担を伴う4億円もの債務負担行為の趣旨・目的を理解しないまま、その融資申込書や約束手形に署名したとの点については、極めて不合理・不自然である」などと指摘して、むしろ小沢クロ説を強調している。それでは、自分で(不起訴を決めた)自分の判断が間違っていました、と言うようなものだ。ごていねいに、このカギカッコ部分にはアンダーラインまで引いてある。

 法務省は田代や佐久間をどう処分するのだろうか。

 小川の後任である滝実法相は小沢の起訴相当議決を受けて設立された「司法のあり方を検証・提言する議員連盟」の座長を務めていた。

 小川の「事実を徹底的に調べて、その責任をとらせ原因もあきらかにしていくことが、国民の信頼を回復するためにも最も大切なこと」という参院法務委員会での指摘に対して、滝は「小川委員の詳細な質問を聞いて、大臣としてどういう問題意識で問題にかかわってきたか、大変よく分かったように思う。(中略)私もいまの考え方については同感の思いを申し上げたい」と答弁した。

 捜査報告書や録音記録のような重要な書類がインターネットに流出するのは、内部告発ではないか。この問題を追及してきたある国会議員は20日夜、私に「法務・検察内部にも現状をよしとしない勢力がいる」と語った。「実は、指揮権発動を小川に助言していたのは滝だった」という情報もある。滝大臣の判断に注目したい。

(文中敬称略)

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