東京新聞論説副主幹 「子孫に借金を残すな」論バカバカしい

東京新聞論説副主幹 「子孫に借金を残すな」論バカバカしい
NEWSポストセブン2012.07.12 07:00


 消費税の引き上げについて新聞各紙では増税賛成派から「子孫に借金を残すな」という論調がでてきた。こうしたロジックの欺瞞を東京新聞・中日新聞論説副主幹の長谷川幸洋氏が解説する。

 * * *
 消費税引き上げ法案が衆院を通過し、いよいよ増税が本当の話になりそうだ。マスコミも増税賛成派と反対派にくっきり分かれている。ちなみに東京新聞は反対派である。

 増税応援団がよく持ち出す話の一つに「子孫に借金を残すな」論がある。最近も毎日新聞が社説で「子や孫に借金回さない」という見出しを掲げて、次のように主張した。

社説:一体改革の意味と課題 子や孫に借金回さない
毎日新聞 2012年07月02日 02時30分


 税と社会保障の一体改革は民主党から大量の造反者を出しながら衆院を通過した。これから参院を舞台に審議が始まる。改めて一体改革の意味と課題を考えたい。

 増税ばかり注目されるが、一体改革はこれから本番を迎える少子・超高齢社会に備えて社会保障を強化する第一歩である。課題が山ほどある中で、消費増税5%の多くは赤字の穴埋めに回され、社会保障の拡充に使えるのは1%分に過ぎない。そのため増税先行のイメージを持たれるかもしれないが、これまで毎年10兆円もの借金で社会保障の穴を埋めてきたことを忘れてはならない。冷静に見れば一体改革は「増税先行」などではなく、「借金先行」の異常事態をようやく解消する道筋をつけるというのが本当のところだ。

 ◇子育ては最優先だ
 民主党が政権を取って3年、以前にも増して借金は増え続けている。この20年間は低成長とデフレにあえいでおり、成長戦略が容易に見いだせないのは他の先進国も同様だ。このままでは膨大な借金を子どもたちの世代に回すことになる。ただでさえ少子化で次世代の人口は減り続け、さらに若年者を労働市場からも締め出していたのでは、社会は破綻する。小さな一歩とはいえ社会保障の重点を現役世代に向け、少子化や子育て政策に本格的に乗り出す意味は小さくない。


「民主党が政権を取って3年、以前にも増して借金は増え続けている。(中略)このままでは膨大な借金を子どもたちの世代に回すことになる。ただでさえ少子化で次世代の人口は減り続け、さらに若年者を労働市場からも締め出していたのでは、社会は破綻する」(7月2日付)

 これは一見、もっともらしい。この際、根本に立ち返って考えてみよう。

 そもそも子供に国の借金を残すのは悪いことか。人生90年として、いまの世代が将来の子供世代に国の借金を残さないとしたら、これから最長90年で国の借金をぜんぶ返済しなければならない。これは好ましいか。

 そんなことを本気で実現しようとすれば、とんでもない大増税と歳出カットが必要になる。あっという間に恐慌状態になって、子育てどころか日々の暮らしも困るようになるだろう。まったく、ばかばかしい。

 前にも書いたが、人生はだいたい90年で終わるが国は永遠に続く。サラリーマンは必ず住宅ローンを返済しなければならないが、死なない国家は借金をぜんぶ返済する必要はない。言い換えれば、いつの時点でも子供はみんな国の借金を背負っている。これが普通の状態である。「子供に借金」論は、有限の個人と無限の国を同列に扱った目くらましの議論なのだ。

※週刊ポスト2012年7月20・27日号

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