八幡和郎 緊迫政権抗争 ★(4)…安倍新総裁を生んだ石原慎太郎の誤算

【緊迫政権抗争】安倍新総裁を生んだ石原慎太郎の誤算
★(4)
ZAKZAK2012.09.28



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安倍新総裁を誕生させたのは、結果的に石原知事だった

 自民党総裁選における影の主役は、大阪市の橋下徹市長と、東京都の石原慎太郎知事だった。橋下氏の野望を利用して、天下獲りを狙った石原父子が、小細工をしすぎて自滅し、逆に、橋下氏のお株を奪った安倍晋三元首相が漁夫の利を得た。

 石破茂前政調会長は健闘したが、もともとチャンスがなかったし、今回の政治的な遺産をいかに生かし得るかも展望がない。

 石原知事の戦略が、自分が総理になるためのものか、長男の伸晃氏を自民党総裁にするためのものかは、本人にしか分からないことだ。伸晃氏にも、うかがい知ることができなかったと思うが、「できれば自分が総理になりたい。しかし、伸晃でも頼りないが仕方ない」ということだったのでないか。

 最初の誤算は、亀井静香、平沼赳夫両氏らとの新党づくりが成功せず、自前の軍団を持てなかったことだ。このことは、橋下維新と合流しても主導権を持てないことを意味した。そこで、伸晃氏を自民党総裁にすれば、橋下氏との連携が容易であると、自民党員に期待させることを狙ったのだろう。

 沖縄県・尖閣諸島の問題は、本来はそれほどの重要事ではなかった。単に「不法上陸した中国人への、民主党政権の処置が手ぬるいという、一般国民の感情に迎合すれば受けるだろう」という程度の話だったのだろう。

 だが、不幸なことに、東京都による尖閣買い上げという奇策が世論から大歓迎されてしまった。また、その成功がゆえにとんでもない大反発が中国から出てきた。しかも、政府も買い上げに動いて競合したとき、都は価格鑑定と議会の議決なしには買えないという制約が障害になって、所有者が政府に売ってしまうという誤算も生じた。

 そして、中国における反日運動の高まりを見て、国民の多くは石原知事の勇ましい呼びかけに賛成したことを後悔し始めた。

 一方、伸晃氏は十分に待望論が盛り上がらないまま、谷垣禎一前総裁に反旗を翻し、「平成の明智光秀」という致命的なレッテルを貼られた。しかも、総裁選の論戦では、石破氏、町村信孝元官房長官、林芳正政調会長代理に比べて政策理解の低さや、安倍氏に比べての分かりにくさを露呈して自滅した。

 それでは、安倍新総裁の誕生によって誰が得をし、損をするのか。

 一言で言えば、「橋下氏は絶体絶命の危機」で、「民主党には願ってもない再生のチャンス」が生まれそうだ。その理由については、明日、書きたい。(徳島文理大学教授)

 ■八幡和郎(やわた・かずお) 
1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に「本当はスゴい国? ダメな国? 日本の通信簿」(ソフトバンク新書)など。


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