日刊闇株新聞2012年10月03日…ソフトバンクのイー・アクセス買収について

日刊闇株新聞2012年10月03日 ソフトバンクのイー・アクセス買収について

ソフトバンクのイー・アクセス買収について

 最近いろいろご心配頂くのですが、別に体調が悪いわけでも、手抜きをしているわけでもありません。

 確かに最近「突っ込みどころの多い事件」が少ないこともあるのですが、引き続き「見落とされている事実」を積極的に書いて行きます。

 ここのところ株式交換やTOBを使った企業買収が目につき始めました。株式市場活性化の観点から「一般的には」好ましいのですが、そうとも言えないものもあります。いくつか取り上げていきますが、本日は最新の掲題についてです。

 10月1日にソフトバンクが同業のイー・アクセス(コード9427)を株式交換で完全子会社化すると発表しました。

 イー・アクセスの発表直前の株価・15,000円に対し、ソフトバンクが付けた価格が52,000円と実に3.5倍にもなります。正確に言うとイー・モバイル1株に対し、ソフトバンクの過去3ヶ月の平均株価・3,108円を基準価格として16.74株を割り当てるもので、ソフトバンクの向こう10営業日の平均株価が基準価格の85%を下回れば割当株数を修正します。

 ソフトバンクとしてはイー・アクセスの持つ周波数、特に高速携帯電話サービス向けの周波数が使えるわけで、その「価値」を考えると高くないと言うことなのですが、全額が株式交換のため現金は1円も使いません。

 ポイントがいくつかあります。

 まず、国民の資産である周波数が割り当てられたのでイー・アクセスの企業価値が飛躍的に向上したとすれば、その直接的メリットはイー・アクセスの株主(それも最近の株価低迷時に取得した株主)に瞬間的に移転されることになります。

 普通であれば「読みが当たったので拍手」となるのですが、そうとも言えません。

 ゴールドマン・サックスがイー・アクセスの30%以上の株式をSPCで保有しており、イー・アクセスとソフトバンク双方に取締役を1名ずつ派遣し、かつ今回の株式交換でイー・アクセス側の財務アドバイザー(つまり交換比率の設定など)を務めているのです。

 ソフトバンクの財務アドバイザーはみずほ証券です。

 どう考えても「突っ込みどころが山ほどある」はずですが、今後たぶん問題とされることはありません。IRが出た時点で金融庁(財務局)も東証も了解を出しており、IRに書かれている「情報隔壁を設営した」という説明で満足しているはずだからです。

 個人的には「これこそ株式市場を使ったダイナミックな収益確保」であり批判するつもりはないのですが、ここ数年の証券行政を見ていると「後で突然アウトと言われる」ことと「外資系証券は常にセーフ、銀行系証券もおおむねセーフ」があります。

 ここが最大の問題で、仮に野村証券だったら「怖くて絶対に出来なかった」案件で、仮に恐る恐るお伺いをたてても「まだそんなことをやろうとしているのですか?」で引き下がるしかないはずです。

 その結果、国民の財産であるはずの周波数の価値の「かなりの部分」を瞬間的にゴールドマン・サックスに「移転」してしまったのです。こういう場合は税金も取れません。

 その次の被害者はソフトバンクの株主です。株式交換で発行される株式の対価は、周波数の価値の大半が「移転」したあとの割高なイー・アクセスの株式です。これこそ「希薄化」と言います。

 ところが最近は、当局(金融庁・財務局・取引所)も株式市場そのものもマスコミも、現金が払い込まれる増資はすべて「希薄化」と批判しています。ソフトバンクも単なる第三者割当増資を行ったら(結果的にその資金でイー・アクセスを買収したとしても)批判されていたはずです。

 株式交換の効力発生(つまり交換されたソフトバンク株が売却できる)は来年2月末です。イー・アクセスの臨時株主総会、一般的な差止め請求などのハードルはあるのですが、ゴールドマン・サックスを含むイー・アクセスの株主はソフトバンクを品借りするなりして売却しておけば利益は確保できます。

 しばらくの間はソフトバンクの株価が、これ以上大きく値上がりすることは無いようです。

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