突撃ルポ ワイセツ戦線異状あり2013(最終回) (週刊文春2013.05.10 18:00)

突撃ルポ ワイセツ戦線異状あり2013(最終回)
「スワッピング・サークル」で大暴走! 熟年カップル「飽くなき欲望」
週刊文春2013.05.10 18:00

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/2525

ギリシャなどの勝ち組に比べてセックス頻度は世界最低との烙印が押される日本。だが、そんな統計はどこ吹く風。大量退職した団塊世代を核とする“普通の熟年層”が、まるで「やれるウチにやる」と言わんばかりに大暴走。驚愕の実態をリポートする必読の連載最終回。

 1月下旬、日曜日の昼下がり。銀座の飲食店の地下にある宴会場には約60名の男女が集まっていた。年齢は30代から60代まで。大柄な外国人男性の姿もある。男性はドレスコードでジャケット着用。女性はワンピースや着物姿。誰もが安定した暮らしぶりを感じさせる服装だ。

 小誌記者が席に着くと、隣りには、日焼けして精悍な顔つきの今年60歳になるという紳士が座っていた。

 挨拶を交わしていると、彼の妻が別室での着替えを終えてやってきた。夫が選んだという胸の谷間が大胆に強調されたグリーンのドレスを着て、妻は少し恥ずかしそうだ。

「そのドレス、キツくなったな(笑)」

 妻にそう話しかけながら、夫は周囲の視線が胸元に集まるのを満足気に見ている。

 しばらくすると、主宰者の50代男性がマイクを握って挨拶を始めた。

「我々の会も10周年を迎えることとなりました。とかく我々は日陰者と見られがちですが、今年も明るくエッチを楽しみましょう!」


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秘密サークルの新年会に潜入

 唐突に飛び出した「エッチ」。実はこれ、スワッピング・サークルの新年会なのだ。相手に職業を訊ねるのはNG。男女はお互いをサークルのネット掲示板で使用するハンドルネームで呼び合っている。

 この主宰男性が話す。

「例年、参加者は30名ほどですが、今年は約2倍。いつもより大きな会場で行いました。うちのネット掲示板でも、このところ毎日のようにパーティーを呼びかける投稿があり、利用者もかなり増えた印象です。参加者は40代、50代が中心。70代の女性が『参加したい』と言ってきたこともありました」

 いまでは60歳以上専門の「シニア掲示板」も作られた。想定以上の需要があるという。

70代男性がハプニングバーに

 定年を迎え、リタイアしていった団塊の世代。その一部は65歳を超え、高齢者と呼ばれるようになった。だが彼らは“枯れた存在”とは程遠い。小誌が2011年に行ったアンケートでも、60歳以上の男性の6割、女性の3割がセックスの現役であることが判明。仕事はリタイアしても、気力も体力も十分。さらに退職金などもあって懐にも余裕がある。

 そんな“熟年の性”が一部で暴走を見せている。

「やはりネットの普及が大きいですね。中高年専門の出会い系サイトの盛況ぶりは言うに及ばず、今ではスワッピングのネット掲示板には全国から多くのユーザーが集まっています。かつては仲間を募集するのにも専門誌の投稿掲示板を頼りに手紙をやり取りするなどしか手段がなく、一部の好事家だけが愉しんできた世界ですが、劇的にその裾野が広がっている。それを支えているのが熟年層であるのは間違いありません」(風俗誌編集者)

熟女が求めるアダルトグッズ

 だが、飽くなき欲望を持て余しているのは女性も同じ。女性向けアダルトグッズショップ『ラブピースクラブ』代表の北原みのり氏が語る。

「ショールームに来られるのは50代女性が多いですね。この世代はラブホで普通にバイブが売られていた。男性を連れてきて、『これ買って♥』とおねだりしてますよ。

 若い人が草食系と言われる一方で、昔ギラギラしていた50代以上がそれをそのまま引きずっているという印象があります。夫を亡くしたばかりの70代女性がバイブを探しに来たこともありました」


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流行のペニスリング

 また、最近は振動で勃起力を上げるペニスリングもよく売れている。北原氏はアダルトグッズで「性の高齢化社会」を感じるという。

 熟年を迎えて“再デビュー”する男性も少なくない。

 1000人の男性経験を持つという元銀座ホステスの田辺まりこ氏が主宰するセックスカウンセリング講座「セクシャルアカデミー」には、いま多くの熟年男性が通っている。

 2時間の講座が終わると、20代の娘を持つ50代の参加者は、次回も必ず参加すると鼻息荒く宣言した。

「最近、ハタチの彼女ができまして。彼女を喜ばせたくて参加しました」


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中高年のスワッピングを描いた『黄昏流星群』(©弘兼憲史・小学館)より

 バブル崩壊直後に連載がスタートした弘兼憲史氏の漫画『黄昏流星群』(小学館刊)には、2017年の近未来を舞台に、長生きする熟年層の生き甲斐と性を描いた「死滅する星」という短編がある。別の短編では中高年のスワッピングをテーマにしたものも。われわれはまさにそこで描かれている世界に急接近しているようだ。

 言われてみれば、本連載第2回でリポートした秋葉原の“非発射系風俗店”にも多くの熟年男性が訪れていた。

「70代のおじいちゃんがよく来ますよ。耳かきをしている間、ずっとヒザをなでているので、注意すると、『いいじゃねぇか、いいじゃねぇか』と」(耳かき店で働く20代女性)

 都心にあるハプニングバーでは裸にエプロンを着けた70代男性が名物となっているという。

「とにかく女性にかまってもらいたいようで、私にも局部を擦りつけてきたので、やめてと突き飛ばそうとしたら、周りから『おじいちゃんだから許してあげて』と止められました」(客の20代女性)

なぜ“性の暴走スイッチ”が入るのか

 なぜ熟年になって“性の暴走スイッチ”が入るのか。様々なケースがあるが、自らの肉体の衰えと向き合い、「性の寿命」を痛感したという人は少なくない。

「40代のときにヘルニアの手術で1カ月間入院したんですよ。そのときに、残りの人生をもっと楽しまなきゃいけないと考えました。退院後は家で療養期間があったのですが、ネットで情報を探して、スワッピングの存在を知ったのです」

 前述の日焼けした紳士はスワッピングを始めた理由をこう話した。最初は、嫌がる妻を連れ出したものの、うまくコトは運ばなかった。

「そのときは別の夫婦とまずレストランで会ったんです。それがマズかった。話しているうちに考える時間ができちゃったんでしょうね。妻が逃げ出してしまいまして。『私はこんな女じゃない』と」(同前)

 どうにか妻を説き伏せて、連れ出した2回目。前回の失敗を教訓にあえてホテルに直行したという。そこから夫婦でこの世界にどっぷりとハマることとなった。

 最近では“あるスタイル”に落ち着いたという。

「私がネットで男性を見つけて、妻に『行って来い』と送り出すんです。そうして妻が帰ってくると、どんな体位で責められたのか、道具は使ったのか、細かく聞きながら夫婦でヤる。嫉妬がスパイスになり盛り上がるんですよ(笑)」(同前)

 記者とのやり取りを恥ずかしそうに聞く妻に、夫の指令で出かける頻度を聞いてみると「月に……2、3回ですね」。ナカナカの回数なのだ。

女性2人に対して男性が5人

 スワッピング・サークルの新年会も半ばを過ぎたころ、参加者はステージに上げられていた。女性たちは輪になり、その周りをぐるりと男性が取り囲む。照明は暗く落とされ、始まったのはチークタイム。男女2つの輪は男性が反時計回りに1人ずつズレることで、全ての男女が1分交代で踊れるようになっているのだ。

 参加者が趣旨を説明する。

「今日のようなセックスのない『オフ会』では、参加者がどんな趣味、嗜好の人かを探って、スワッピングの相性が良さそうかを見定める目的があるんです。だから全員と踊るんですよ」

 いわば踊りながら瀬踏みするのである。記者も輪に加わったが、次々に女性と密着して踊るのは刺激的過ぎて世間話をするのがやっと、そんな記者の横では、

「では、今度宜しくお願いします」

 と続々と話がまとまっている。メンバーが「パーティー」と呼ぶスワッピングの合意が取れたのだ。

 最近行ったパーティーの模様をサークル主宰者の男性が語ってくれた。

「週末の午後2時からホテルの和室で行いました。週末のデイユースを使うことが多いんですよ。家族持ちが多いので夜は家を空けられないし、スイートルームが安く使えますから」

 参加者は50代の主宰者夫婦と、40代の単独女性、単独男性が30代のオーストラリア人と40代2人、50代1人。つまり女性2人に対して、男性が5人という数だ。

「男性は果ててしまうと回復まで時間がかかりますからね。女性に十分楽しんでもらうために、男性を多めにするのがパーティーを盛り上げるコツなんですよ。外国人とプレイしてみたいという女性も多いので紹介を受けて呼ぶこともあります」(同前)


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パーティーは性感マッサージから始まった

 この日は性感マッサージから。シャワーを浴び、カーテンで薄暗くなった部屋の布団にランジェリー姿となった主宰者男性の妻らが横たわる。布団の周りを男性たちが取り囲み、代表の男性が女性2人に性感マッサージを施す。肩から背中、腰と進み、四つん這いにさせて性器への愛撫が始まる。

 30分にわたるマッサージを終えると、ビッグサイズのコンドームを持参したオーストラリア人男性が主宰者の妻と交わり始めた。その横では40代女性が3Pを堪能している。

「女性は喘ぎ声で息を弾ませながら、傍らで見ている男性にビデオで撮影するよう頼んでいましたね。後で夫と観て楽しむんだそうです」(同前)

 セックスは1時間半に及んだ。そして休む間もなく、男性を交代させて第2ラウンドが始まった――。

夫婦の愛情を保つツール


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サークル仲間で仲良く混浴も

「パーティーは女性が主役なんです。男性はみな女性を楽しませようと一所懸命で、30分以上クンニリングスをする男性もいました。白熱するあまり、知らぬうちに布団が壁まで移動していました(笑)」(同前)

 彼は「女性」と言うが、そこには当然、彼の妻も含まれている。妻を他人に差し出すのに抵抗はないのだろうか。

「妻は夫の所有物ではないので“差し出す”ものではありません。最初のときに『どうだった?』ときいたら、『大きくて奥のほうまで突かれて気持ちよかった』と。私も『良かったじゃん』と。今では『いつになったらパーティーをやるの!』と妻に責められることもあります(笑)。

 そもそも結婚した頃は妻の肌に触れるだけでも新鮮な喜びでした。30代から40代は子育てで走り続け、ようやく夫婦の時間が取れる時期になりました。この現役のうちに妻との性生活において全てを試してみたいという思いもあります。外国人男性や複数男性だとか、私との性生活だけでは経験できない快感を、妻に味わってもらいたいという気持ちも強い」

 スワッピングは夫婦の愛情を保つツールなのだ。

 スワッピングの取材経験がある社会学者・宮台真司氏もこう話す。

「スワッピングする動機の1つはマンネリです。マンネリから浮気をしても、それもただの日常になる。ならば好きな人とマンネリしない工夫をすればいい。第2の動機は浮気バレによる別れの回避です。愛ゆえの嫉妬で別れるのは変。だから互いの嫉妬を取り込んだゲームをするのです」

たとえるなら「切手の交換会」

「たとえるなら、切手収集家の交換会ですね」

 都内のカップル喫茶をよく利用するという40代の会社経営者男性はそう言った。スワッピングと比較すると、カップル喫茶はより“享楽的”だ。

 会員数5000組を誇るその店は業界では有名店。都内有数の繁華街のビルに看板も出さずひっそりと存在する。カップルでの入場料は7000円。靴を脱いで薄暗い店内に入ると、奥でシャワーを浴びてくるように促される。混雑時には先客がシャワーを終えるのをバー・スペースで待つことになるが、その間に他の客の顔ぶれをチェックするという。

「その後、シャワールームで恋人と作戦会議をするんです。どのカップルを狙おうかと」(同前)

 客は若い愛人を同伴した50代以上の医者や経営者が多いという。

「ここでは連れている女性のレベルで“男性の格”が決まる。だから僕も見栄えの良い恋人ができると、この子は受けそうだなと連れて行きます」(同前)

 シャワーを終えるとカップルはバスタオル1枚の姿でバー・スペースに戻る。そこでは、男性たちがコーラ片手に節税対策を語り合うこともあるという。

「お酒は女性に飲ませて、男は飲みません。勃たなくなっちゃうので(笑)」(同前)

 やがて他のカップルの女性に目を付けた客は、

「なんて美人なんでしょう」

「あまりにも素敵なので見惚れていました」

 などと慇懃な言葉遣いで、連れの男性のほうに声をかけてくる。自分の“コレクション”を褒められて、男性は悦に入るのだ。

「それで僕のパートナーも交換をOKすれば、傍らのプレイスペースに移って、隣り合わせで始めるんです。週末はすごく賑わっていて、20畳余りのプレイスペースでは7、8組が一斉にやっていることもあります。バックで交わっている男性の乳首をパートナーの女性が責めて、もう1人の男性がその様子を満足そうに眺めているとかね」(同前)

 カップル喫茶を楽しむ上で重要なのは、店を出た後の女性のケアだという。

「店を出た後は必ず鮨屋などに連れていきます。女性はカップル喫茶ではその場の雰囲気に乗って、楽しそうにしているんですが、外に出てしまうと、オトコが楽しむために自分は損をさせられたという気持ちが湧いてくるようなんです。一度モメて、高いプレゼントを買ってなだめたこともあります(笑)」(同前)

 仕事や子育ては一段落でも、「生の寿命」はずっと先。その前に堪能したいと考えるのが「性の寿命」なのだ。性への好奇心、探究心は衰えるどころか、より切実、濃厚なものになって、熟年世代を駆り立てている。

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