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zoom RSS バブル世代の星 半沢直樹を“10倍返し”で楽しむ方法 【全文公開】  (週刊文春2013.8.21)

<<   作成日時 : 2013/08/21 22:11   >>

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バブル世代の星
半沢直樹を“10倍返し”で楽しむ方法
【全文公開】

池井戸潤(作家)×片岡愛之助(黒崎駿一役)×渡辺真理(アナウンサー)
週刊文春2013.08.21 07:00

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/3020

バブル世代への応援歌と言われる原作をドラマ化して大ヒット。原作者・池井戸氏の創作秘話、片岡氏演じる「オネエ言葉の国税局査察官」誕生の秘密など、原作ファンにしてバブル世代の渡辺氏を交えて魅力を語り合った。これを読めばドラマが10倍楽しくなる!


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池井戸潤(作家)

池井戸 ドラマ『半沢直樹』がこれだけヒットしているのは、主演の堺雅人さんや監督をはじめ、皆さんの努力の賜物だと思いますが、悪役チームの活躍が光ってますね。特に愛之助さん演じる黒崎駿一が最高です。

片岡 ありがとうございます。

渡辺 本当に。初回の2時間スペシャルから、時間を忘れるくらいの面白さでした。堺雅人さんの半沢直樹はじめ個性的なキャラクターが魅力的な中でも、黒崎のキャラクターはとびぬけていますよね。何しろ「国税局査察部統括官」なのに、オネエ言葉なんですから(笑)。

片岡 4月に市川猿之助君の襲名披露公演のこんぴら歌舞伎に出ているときに、演出の福澤(克雄)さんから電話がかかってきたんです。たまたまスケジュールに余裕があったので、喜んで出させていただきました。

渡辺 どんな役かそのとき聞かれてたんですか。

片岡 大まかには聞いていたんですが、それから原作を読ませていただいて、これは濃いなあ、と(笑)。たぶん、昔の僕なら絶対受けてない役です。でも41歳になって、もう恥ずかしいと思うことは何もないし、街で「あ、オカマの人だ」と指をさされながらも(笑)、新たな挑戦として、楽しくやらせていただいてます。

堺さんがまるで3Dのよう


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片岡愛之助(黒崎駿一役)

池井戸 緑山スタジオに撮影の見学に行ったときに、ちょうど黒崎率いる国税局の査察官たちが銀行に乗り込んでくるシーンをやっていました(第1話)。愛之助さんが何回も、何通りにも演じられていて、すごく面白かった。愛之助さんや半沢をいじめる緋田康人さんたちが演じる悪党の、劇画的なところがとてもいい。

渡辺 そういえば演出も劇画的というか、堺さんへのカメラの寄り方とか尋常じゃないくらいですね。

片岡 すごいクローズアップで、まるで堺さんが3Dで飛び出てくるみたいに見えますからね(笑)。

渡辺 愛之助さんも十分飛び出してます(笑)。

池井戸 この物語は銀行という堅い業界が舞台で一見シリアスですが、じつは中身はマンガなんですよ。主なターゲットである50代くらいのオヤジ世代って、僕も含め若い頃は電車の中でマンガ雑誌を読んでいた人たち。だからこの層には、シリアスに作って実はマンガだというのは受け入れやすいんじゃないかと思うんです。

片岡 実は、ちょっとやり過ぎたかなと心配になって、第1回の放送前はどきどきしてたんです。ふざけ過ぎだって問題になったらどうしようって。でも実際に観たら、自分で言うのもなんですが、面白かった。

渡辺 黒崎について、『オレたち花のバブル組』にはこうあります。「鼻持ちならないエリート臭をぷんぷんさせ、集まった銀行員を小馬鹿にしたような目で見つめていた。育ちがいいのは見てわかる。だが同時に、心のどこかがひん曲がっていることも見ただけでわかった」。

片岡 ものすごい言われようですね(笑)。

池井戸 誰が書いたんだ、そんなひどいこと(笑)。

渡辺 さらにオネエ言葉ですよ。強烈です。そもそも、池井戸さんはどこからあの黒崎という特異なキャラクターを考え付かれたんですか。

池井戸 そういえば初めてお会いした時にも、「なんでオネエ言葉なんですか?」って聞かれましたよね。

片岡 そりゃ聞きますよ(笑)。


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渡辺 ですよねぇ(笑)。

小学校で流行る「半沢走り」

渡辺真理(アナウンサー)

池井戸 黒崎は原作ではシリーズ2作目の『オレたち花のバブル組』から登場するんですが、実は最初はただの憎たらしい小役人だったんです。先ほど言ったように僕はマンガのつもりで書いていたんですが、読者の感想を見ると、銀行ってこんな怖いところなんだとか、リアルに受け取られてしまっていた。これはもっと楽しんでほしい作品なんだとシグナルを出さないといけないと、本にするとき、黒崎の台詞をみんなオネエ言葉に書き換えたんです。

片岡 すごい発想ですね。

池井戸 ここまでやればみんなリアルなものだとは思わないだろうと。

渡辺 愛之助さんは若い頃女形もやってらした。2000年以降は立役を専らにされるようになったわけですが、今回の役には過去の蓄積が生きているんでしょうか。

片岡 うーん、確かに普通の俳優さんだとこの役はかなり研究しないといけないと思いますが、僕は案外、研究しなくてもいけるなあと思いました。女形という環境があったこともありますし、知人にけっこうああいう人がいっぱいいるんで(笑)。今日はあの人で行ってみようか、この人で行ってみようか……と。

池井戸・渡辺 (爆笑)

片岡 まあ、あまりやりすぎたら誰かがきっと止めてくれると信じています(笑)。何しろこのドラマ、歌舞伎界の視聴率もめっちゃ高いんですよ。(尾上)菊之助君なんか放送の翌日、すぐに「昨日見たよ、すごく面白かった」って連絡くれました。(尾上)松緑さんも録画して見て下さってるそうで、びっくりしました。参院選の日は特番でお休みだったんですが、「どうして放送しないんだ」って言う人もいて、それは僕に言われても困っちゃうんですが……。

渡辺 テレビには報道の使命というものもございますので……。それにしても第1話の視聴率が19.4%、第2話が21.8%、第3話22.9%。「半沢直樹」快進撃です。

池井戸 オヤジだけじゃなく、子供とか若い人がみていないとこれだけの数字は出ないんじゃないかと思うんです。この前聞いたんですが、知人のお子さんの小学校で「半沢走り」が流行ってるそうなんです(笑)。半沢がカバンを手に歩道橋などをだーっと走りますよね。あれを真似しているらしい。

片岡 へえー、もはや社会現象ですね。

渡辺 今回のドラマでは半沢のお父さん役の笑福亭鶴瓶さんのエピソードに、ほろっとさせられます。池井戸さんの作品はいつもそういう部分もきちっと織り込まれているところが好きなんですが、銀行員時代に経験された出来事がベースになっているんですか?

池井戸 いや、むしろ経験したことは書かないようにしています。

片岡 えっ、そうなんですか。てっきり今までの経験を書かれている部分があると思っていたんですけど。

池井戸 作家って経験したことはかえって安易に書けないものだと思うんです。それに、そればかり書いていたらすぐに経験は底をついてしまう。だから経験に頼らずに、想像して書くわけです。

渡辺 そうやって書き上げた作品がドラマ化されるときに、池井戸さんは自由に脚色を許されている感じですね。

感想は言うけど、口は挟まない

池井戸 ええ。僕は一切口を出さないことにしているんです。そのかわり原作料は高いよって言ってるんですけど(笑)。

片岡 あははは。

渡辺 すごい。まるで半沢ですね。

池井戸 小説は登場人物の心の動きなど内面を書いていけますが、映像は外からしか表現できません。その違いを無視して、原作通りにやろうとすると歪(ひずみ)が出るんですよ。だから変えていいって言ってます。

渡辺 今回も2冊の原作を混ぜちゃうとか、大幅な変更が加えられてますよね。

池井戸 今回、大きく変えられているのは先ほど出た半沢のお父さんの話ですね。原作では死んでいないんですが、プロデューサーが「半沢のお父さん、死んでることにしていいですか?」って聞いてきたんです。聞くと、「貸し渋りで自殺したことにしたい」と。「安直すぎませんか?」って僕は言ったんです。でもそれはあくまで僕の感想であって、自由にしてほしいと言いました。

渡辺 感想は言うけど、口は挟まない。

池井戸 視聴者も食傷気味じゃないかなと思っていたんですが、実際にドラマになって見ると、父親が貸し渋りで死んだというエピソードがあることで、半沢ががーっと走ることの強い動機づけができているんだなと分かる。ドラマとしては分かりやすく効果的だと思いました。余計なこと言わなくてよかった(笑)。

渡辺 自由にどうぞと言われたTBSのドラマ班のプレッシャーも大きいでしょうね。その分、面白くしなければという気持ちが湧くはず。そこから生まれる熱意が、きっと面白いドラマ作りに役立っているのでしょうね。

 ところで今日は、池井戸さんが1963年生まれ、片岡さんが72年生まれ、私がちょうどその真ん中ということで、世代がちょっとずつずれています。半沢が銀行に入ったのが91年ということで、私と同じいわゆるバブル世代。その半沢が活躍するシリーズは、何かと批判されがちなバブル世代への応援歌とも受け取られていますね。

片岡 バブルって話では聞くんですけどね。遠くに見ていたような感じで、実体験としてはよく分からないですね。なんとなく大人の世界はすごいんだな、と思っていたくらい。想像するに、浮かれていた一方で、ものすごい厳しいところもある時代だったんじゃないですか。

池井戸 愛之助さんはバブル崩壊後のいわゆるロスジェネ世代ですね。就職氷河期がやってきて、若者がうまく就職できなくなってしまった。

渡辺 確かに、私たちの就職は愛之助さんの世代には申し訳ないくらいの売り手市場でした。黙っていても銀行から電話がかかってきて、うな重おごるから話だけでも聞きにきて! とか。証券会社からもすぐに内定がもらえたり。その分入社してから早く辞める率も高かったんですけど。

片岡 そうだったんですか。

渡辺 でも自分としては浮かれてた感覚はあまりないんですよね。確かに入社した頃は深夜12時過ぎたらタクシーで帰っていいと言われていて、それが何年かしたら終電に間に合うように帰りなさいとなったので、あれがバブルだったのかなとは思いますが。

「クソ上司」がバブルの元凶

池井戸 いわゆるバブル世代は、ただバブルの時代に学校を出ただけですからね。実際にバブルを謳歌していたのは団塊の世代、いまの60歳代から上の人たちです。彼らが会社の金をばんばん使えた世代で、サラリーマンをやっててよかった最後の世代です。

渡辺 ここで言うところの「クソ上司」にあたる人たちですね(笑)。

池井戸 そう、彼らがやっていたことが間違っていたから、我々が苦労する(笑)。

渡辺 だから半沢たち「花のバブル組」が苦労するわけで、彼らが上司をやっつけると痛快なのかぁ。

池井戸 ええ。でも、団塊の世代だけが悪いというわけじゃないんですよ。どの世代も不満をもっているし、もちろん団塊の世代にも不満はある。だいたいひとつ上の世代っていうのは鬱陶しいもんです。いまロスジェネ世代の人たちは、40歳代後半のバブル世代を実に鬱陶しく思っている。でもロスジェネ世代の人が40歳代後半になってくると、下の世代から必ず鬱陶しいって言われます。これはもう、人間の性(さが)みたいなもの。

渡辺 半沢の決め台詞は、「基本は性善説。やられたら、倍返し」。倍にして返しちゃうってことは、勧善懲悪のヒーローではないんですよね。

池井戸 半沢は正義の人じゃないんです。清濁併せ呑んで、汚い手を使っても上に行くという人。正義の人より、そんな悪漢のほうが、僕ははるかに魅力的だと思うんです。

片岡 悪役は楽しいですよ。歌舞伎でもよく人殺しのひどい悪役をやってるんですけど、これが楽しい。正義感に燃えてるような役は、ストレスが溜まります。面白くするには正義の人が痛めつけられなきゃいけない。悪役はどんどん痛めつける側で楽しいんです。

池井戸 このシリーズ、3作目(『ロスジェネの逆襲』)はもう単行本になっているんですが、4作目(『銀翼のイカロス』)を「週刊ダイヤモンド」で連載しているんです。ちょうどいい場面があるので、こんど黒崎を出そうと思います。

片岡 お、ほんとですか。

池井戸 実は黒崎のことはすっかり忘れてたんです。

片岡 えーっ?

池井戸 撮影を見学に行って、愛之助さんの演技を見て再登場を決めました。

片岡 それは嬉しいですね。

渡辺 とにかく、次が待ち遠しいドラマです。

池井戸 原作者も続きを楽しみにしています。


ドラマ「半沢直樹」

毎週日曜日夜9時〜TBS系にて放映中
http://www.tbs.co.jp/hanzawa_naoki/


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