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zoom RSS 【書評】 『流星ひとつ』沢木耕太郎著…藤圭子「あたしの胸がときめいてしまったら、それで終わり」

<<   作成日時 : 2013/11/12 08:21   >>

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藤圭子「あたしの胸がときめいてしまったら、それで終わり」
NEWSポストセブン2013.11.12 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20131112_226230.html

【書評】『流星ひとつ』沢木耕太郎著/新潮社/1575円(税込)

「流星ひとつ」沢木耕太郎著(新潮社 1575円)

三十数年の時を越えて明かされた藤圭子の真実


画像


「何もなかった、あたしの頂上には何もなかった」--1979年秋。歌を捨てる決意をした美しき歌姫・藤圭子に、沢木耕太郎がインタヴューを試みた。その肉声は、聞き手と語り手の「会話」だけで紡がれる、まったく新しいノンフィクションに結実した。だがーー。一度は封印された作品が、33年の時を隔てていま、新たによみがえる。


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沢木耕太郎 新潮社発行年月:2013年10月 予約締切日:2013年10月09日 ページ数:323p


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・発売日:2013年10月
・著者/編集:沢木耕太郎
・出版社:新潮社
・サイズ:単行本
・ページ数:323p
・ISBNコード:9784103275169

【内容情報】
流星のように消え去った藤圭子の「真実」を描く奇跡のノンフィクション。

【目次】
一杯目の火酒
二杯目の火酒
三杯目の火酒
四杯目の火酒
五杯目の火酒
六杯目の火酒
七杯目の火酒
最後の火酒

【評者】鈴木洋史(ノンフィクションライター)

 * * *
 1979年秋、引退発表直後の藤圭子を若き気鋭のノンフィクション作家だった著者がインタビューした。それをもとに当時書いたのが本書だ。一切の地の文を排除し、2人の会話だけで構成している。といっても、実際のやりとりをそのまま再現するのではなく、かなりの取捨選択、再構成を行なったはずだ。酒場での会話の体裁を取り、男女の関係になってもおかしくない空気すら漂う。そのスタイルと雰囲気が面白い。

 具体的な経緯は本書の「後記」に譲るが、作品は一度も発表されることなくお蔵入りしていた。だが、自死をきっかけに、奇矯な言動の映像ばかりが流される中、若い頃の藤圭子が〈輝くような精神の持ち主〉だったことを伝えたい思いから刊行が決まったという。

 貧しさと父の暴力に苦しんだ少女時代に始まり、「自分と似ている」と感じた作詞家石坂まさをとの複雑な関係、「時代の歌姫」となっていく経緯、前川清との結婚・離婚、その後の失敗続きの男関係、そして歌への思いと引退の真相(そこが白眉である)に至るまで、内容は多岐に渡る。率直な語りから浮かび上がってくるのは、藤圭子の純粋さである。

〈心の入らない言葉をしゃべるのって、あたし、嫌い〉〈嘘をつきたくないから、いつでも本当のことを言ってきた〉〈周囲の人が、あの人はよくない、悪人だって言っても、あたしの胸がときめいてしまったら、それで終わり〉……。

 現実に婚約していながら、惚れた男から身を引く女の歌はうたえないといって、与えられた曲を拒否したこともあった。

 その純粋さは、裏返せば不器用さであり、危うさであったが、それがなおさら彼女の魅力を増したことが伝わってくる。

※SAPIO2013年12月号




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