中江有里 真保裕一新作「映像化したいと思わせる作品」と評す  『アンダーカバー 秘密調査』

中江有里 真保裕一新作「映像化したいと思わせる作品」と評す
NEWSポストセブン2014.07.28 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20140728_267721.html

 ひとりのカリスマ経営者が自らに着せられた無実の罪の真相を追い続け、やがて想像を絶する犯罪計画を暴く──週刊ポスト連載時から読み応えのあるサスペンスと好評だった真保裕一氏の『アンダーカバー 秘密調査』が単行本として発売された。女優の中江有里が独自の視点で同書を紹介する。

「アンダーカバー 秘密調査」真保裕一著(小学館 1,944円税込)


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罠には世界を震撼させる陰謀が潜んでいた

戸鹿野智貴は若干28歳の若きカリスマ経営者。設立したネット企業を成長させ、一躍注目の的となる。ところが──女性と旅行に行った異国の地で、謂われなき麻薬密輸容疑をかけられ、一気に転落。会社は清算に追い込まれ、全財産を失ったすえに、刑務所へと収監される。

二年後──。その取材を進めるテレビ局記者の伊刈美香子はフィリピンの刑務所を訪ね、戸鹿野のインタビューに成功する。だが、戸鹿野の容貌は別人のように変わり、刑務所での苛酷な日々を知らされる。

一方──。イギリスで麻薬捜査を手がけるジャッド・ウォーカーは、ユーロポールへの派遣が決定する。イタリアへ赴任すると、地元マフィア幹部の惨殺死体が発見され、しかも同じ拷問を受けた死体が別の国からも報告される。ユーロ・マフィアの内部抗争勃発か……。

五年の時を経て──戸鹿野が釈放されたというニュースが駆け巡る。だが、彼は姿を消した……。

真犯人を探し求める元カリスマ経営者、その事件を追う女性記者、そして連続マフィア殺人を調べるイギリス人捜査官。
それぞれに進められる三つの調査がいつしかひとつにつながり、予想もしない犯罪計画が姿を見せ始める──。


【編集担当からのおすすめ情報】
取材の入念さで知られる著者が、グローバル社会における世界の犯罪事情を的確にとらえ、日本にいてはうかがい知れない巨悪との戦いを見すえて、迫真の物語を展開させていきます。ページをめくるごとに読む側も翻弄され続ける、まさしくノンストップ・スリラーです。


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小学館
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秘密調査 真保裕一 小学館発行年月:2014年06月30日 ページ数:484p サイズ:単行本 IS


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・発売日:2014年06月30日頃
・著者/編集:真保裕一
・出版社:小学館
・サイズ:単行本
・ページ数:484p
・ISBNコード:9784093798624

【内容情報】
戸鹿野智貴、28歳。若きカリスマ経営者と言われる彼は、女と旅行に行った異国の地で、薬物密輸の疑いで逮捕される。会社は破綻、資産は没収。なぜ自分ははめられたのか?事件の真相を探るべく、彼は名前も顔も変えて調査に乗り出す。一方、イギリスで麻薬捜査を手がけるジャッド・ウォーカーは、ユーロポールへの出向を命じられ、イタリアでマフィア幹部の惨殺事件に遭遇する。さらに第二の事件が…。日本、イギリス、イタリア、アメリカ。舞台は目まぐるしく動き、予想もしなかった真相が立ちはだかる。世界スケールで展開するサスペンス巨編。この真相を見抜けるか!

【著者情報】
真保裕一(シンポユウイチ)
1961年生まれ。アニメーション制作に携わった後、91年『連鎖』で第37回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。95年『ホワイトアウト』で第17回吉川英治文学新人賞、96年『奪取』で第10回山本周五郎賞と第50回日本推理作家協会賞、2006年『灰色の北壁』で第25回新田次郎賞を受賞

 * * *

 こうした裏社会を描いたミステリーは、それほど手を出さないのですが、一読して驚きました。本作品は小説でありながら、小説を読んでいることを忘れさせる時があります。自分がその場にいるような臨場感を感じました。

 ひと言でいうと、スケールが大きい。私たちが見ている社会は、たとえるなら袋の表側だと思うんですよね。この袋をひっくり返して、裏側を見せてしまった。『アンダーカバー』はそういう小説だと思います。世界的なマフィアの活動、フィリピンの刑務所……。ここには、私たちの想像を凌駕する世界がありました。

 小説は3人の視点―異国の刑務所に収監された、若きカリスマ経営者・戸鹿野智貴(とがのともき)、キャスターの座を蹴ってフリージャーナリストとして戸鹿野の事件を追う伊刈美香子、麻薬捜査官ジャッド・ウォーカーの視点で進んで行きます。少し種を明かすと、3人の人生がある地点で交差するのですが、これがいつまで経っても重ならない。重なった時のカタルシスといったらありません。

 ひとりの女性としては、やはり伊刈美香子が気になりました。彼女は、いちばん読者に近しい人物です。美香子は、一記者としての限界を感じながら、それでもしぶとく事件を追っていきます。自分のこの言動は正義感から来ているのか、それとも偽善なのか、迷いながら進むのです。

 美香子を通して私たちは、世間の怖さも知ります。マスコミが事件をセンセーショナルに取り上げれば、我を忘れて熱狂し、関わった人物を追い詰める。時が経てば事件を忘れ、途端に無関心になる。このあたりの切り取り方はリアルです。

 こうしたミステリーは、人の死が記号化されてしまうことがよくあります。殺人がないと話が進まないという理由で、人の命が軽く描かれてしまう。ところが、『アンダーカバー』はそうではありません。「自分の行動が人の人生を狂わせてしまったのでは?」(あるいは「狂わせてしまうかも」)と、登場人物たちが立ち止まって迷うのです。こうした惑いが、人物たちに人間味を付与していて、ひとつの魅力となっています。私も一緒に迷いながら、読み進めました。

 女優として、映像の世界にいる身としては「映像化したい」と思わせる作品です。でも下手に映像化するよりは小説のままでとどめてほしいような……。私まで迷っていますね。

※週刊ポスト2014年8月8日号

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