【Forbes】 ソフトバンクに米ヤフー買収観測 大物スカウトで (日本経済新聞2014/10/9)

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ソフトバンクに米ヤフー買収観測 大物スカウトで
日本経済新聞2014/10/9 7:00

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO78089180X01C14A0000000/

ニケシュ・アローラ氏は今月、ソフトバンクの副社長および同社のグローバルインターネットサービスのトップとしてスタートを切った。

 アローラ氏にとって大きな転機であり、ソフトバンクは逸材をつかまえた。そのわけを見ていこう。

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アローラ氏を幹部に迎え入れたことを紹介するソフトバンクの孫社長(8月8日)=ロイター

 アローラ氏は10年以上、グーグルに在籍し、最高事業責任者(CBO)として実績を残してきた。グーグルは検索サービス業界でヤフーに次ぐ二番手だったが、同氏の在任期間中に業界トップの座についた。

 私がアローラ氏の名前を初めて聞いたのは数年前。ダボスにいた(作家でジャーナリストの)クリスティア・フリーランド氏と話をしたときだ。私の最初の印象は、世界一簡単な職、つまりグーグルのセールス部門のトップに就いている男という程度だった。「ご用聞き以外の何物でもないだろうな」と思ったことを覚えている。アローラ氏は身なりをきちんと整え、語り口も上品。ダボスでは世界中から集まったエリートたちと打ち解け、酒を酌み交わし談笑していた。きつい仕事だ。

 しかし、グーグルのセールス部門トップというのは、同じような職務につく他の人とはちょっと違う(とはいえ、こうした人たちを気の毒に思えないのだが)。歴代の人物は、確かに「ご用聞き」タイプではない。これまでにグーグルでセールスの中心的役割を果たした人は3人いる。ニケシュのほか、現在はAOLを経営するティム・アームストロング氏、そしてオーミッド・コーデスタニ氏だ。ティムとニケシュはどちらも、オーミッドの元で働いていた。やがてオーミッドが引退した。現在は、ニケシュがグーグルを離れたため、オーミッドが復帰して後を継いでいる。3人ともよく働き、やる気に満ちて、聡明で、極めて成功した男たちである。

 ティムとニケシュに対して、私がこれまでにツイッターや記事で述べてきた批判は、どうやら的外れだったようだ。私が第一印象でビジネスエリートを見誤るのは、今回が初めてではない。今回でおしまいにしたいところだが、そうもいかないだろうと思う。

 アローラ氏の名前は、私が思い出せるだけでもここ5年ほどの間で少なくとも2回、ヤフーのトップに就任するという話と関連して、うわさにのぼっている。もしうわさが本当だったとしても、ヤフーの経営陣が冴えないことやヤフーの中核事業が苦境に立たされていることを考えれば、アローラ氏がオファーを引き受けなかったことに驚きは感じない。

■抜てき、孫正義氏の野望の現れ

 結局、グーグルプレックス(グーグル本社)のとなりの芝生はもっと青いかもしれないとアローラ氏を説得できたのは、ソフトバンクの孫正義氏だった。中国の電子商取引最大手、アリババ集団が新規株式公開(IPO)を実施した現在、米国では「マサ」(孫氏のこと)が1999年にアリババ集団に3000万ドルを投資したことは周知の事実。この投資は現在の市場価格では730億ドル以上に相当する。孫氏は米携帯電話3位、スプリントの新たな所有者でもある。おまけに日本一の大富豪だ。

 しかし、孫氏の野望は、(スプリントを)ソフトバンクの一部として掌握する現状にとどまらない。7月にアローラ氏を抜てきしたことが、決定的なしるしだ。

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決算を発表する孫社長。スプリントは米国で低価格攻勢をかけている(8月8日)

 アローラ氏は今後も、グーグル時代にも勤務していたシリコンバレーに拠点を置く。しかし、もっと大きな仕事を任せられる予定でなければ、アローラ氏は孫氏の傘下に入らなかったであろうことは、疑いの余地がない。ニケシュは今後5~10年かけて、ソフトバンク帝国を2倍から3倍の規模に拡大するため、企業買収をどんどん進めるよう求められているのではないかと、私はみている。

 世界中で、山ほどの契約をまとめることになるだろう。ここで彼の会話術は非常にいきてくる。

 アローラ氏はまだ公式に職務を開始したわけではないが、先週はソフトバンクがドリームワークス・アニメーションを買収するといううわさが流れた。うわさによると、現在、同社は米映画会社レジェンダリー・エンターテインメントの株式の10%を保有するという(注:3日、ソフトバンクはレジェンダリーに資本参加すると発表した。出資額は2億5000万ドル=約270億円=で、出資比率5割未満の株主となる)。1980年代、日本企業に“侵略”された時代をほうふつとさせる。ニケシュは来週にも、30Rock(米人気ドラマに登場する架空のテレビ局)だって買収する勢いだ。

■米企業の買収に乗り出すはず

 アローラ氏は通信分野のアナリストとしてキャリアをスタートさせており、通信とインターネット分野の経験がある。ソフトバンクは今後、この2分野の企業買収をしかけてくると予想される。東京へ拠点を移さずカリフォルニアにとどまることを考えると、同氏は米国企業の買収に次々と乗り出すはずだ。

 ソフトバンクが現在米国で所有するのは、スプリントだけ。ニケシュは米国のインターネット帝国も狙っているだろう。

 私を含め多くの予想では、ニケシュは米のインターネット分野への動きの手始めとして、ヤフー買収を考えているのではないかとみられる。ソフトバンクによるヤフー買収は、様々な面で理にかなっている。

・一夜にして、アリババ集団の株式のほぼ半分を手に入れる

・ヤフー・ジャパンの株式の35%を更に獲得し、節税効果もある

・ヤフーが保有するヤフー・ジャパン株を減資すればヤフー・ジャパンの1株当たり利益は5割増となり、保有する株式の価値を高める

・ヤフーのコスト超過額が膨らんだ安価な資産や、すぐに切り捨てるべき不動産を取得する

・ヤフー・ジャパン経営の経験のおかげで、ソフトバンクはヤフー経営のコツを熟知しており、現在より利益率を高められる

・米国の政治家と意思疎通を図り、米メディアとも交流があるので、アリババと違いソフトバンクは米国の資本市場で非常にうまく立ち回れる

・ニケシュ自身、ヤフーとなじみがある。2009年には検索サービスでヤフーと手を組もうとしたほか、小規模だが携帯広告の取引を手掛けた。ヤフーのトップに誘われたこともあった

・ニケシュが米のインターネット業界でどのような取引をしても、将来的にはヤフーの利用者700万人を呼び込める

■テンセント、アリババ、ソフトバンクが台頭

 買収が差し迫っているというわけではない。ニケシュはソフトバンクをよりよく理解するため、100日ほどは見て回る時間をとりたいようだ。

 しかし、(もの言う株主として知られる)スターボード・バリューがヤフーに株主価値を生み出すようしつこくつきまとっているなか、ヤフー最高経営責任者(CEO)のマリッサ・メイヤー氏はすぐにでもアローラ氏に接触するかもしれない。

 ヤフーの件がどうなろうと、私の大胆な予想では、今から5年後には米国のインターネット業界ではアジアのインターネット3社が主要企業になっているはずだ。騰訊控股(テンセント、中国広東省)、アリババ集団、そしてソフトバンクだ。

 このようなソフトバンクの未来予想図に向けて、ニケシュ・アローラ氏が陣頭指揮をとる。非常にわくわくするものになりそうだ。

By Eric Jackson, Contributor

(2014年10月2日 Forbes.com)

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