【土曜訪問】  悪の奥底世界に問う カルト宗教テーマに最長編 中村 文則さん 『教団X』(集英社)

【土曜訪問】
悪の奥底世界に問う カルト宗教テーマに最長編 中村 文則さん(作家)
東京新聞2015年2月21日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/culture/doyou/CK2015022102000237.html


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 多くの市民を巻き込んだオウム真理教による地下鉄サリン事件から、今年で二十年。当時高校生だった中村文則さん(37)にとって「集団の力」を強く意識させられた出来事だった。善と悪、孤独との向き合い方…そのころからの問いが、カルト宗教をテーマにした新刊『教団X』(集英社)に結実した。これまでの作品の中で最長編。「自分のすべてを込めた。燃え尽き症候群みたいな状態から抜け出せない」と話す力作だ。

「教団X」 中村文則著(集英社 1,944円税込)


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中村文則 集英社発行年月:2014年12月15日 予約締切日:2014年12月11日 ページ数:56


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発売日: 2014年12月15日頃
著者/編集: 中村文則
出版社: 集英社
サイズ: 単行本
ページ数: 567p
ISBNコード: 9784087715903

絶対的な闇、圧倒的な光。「運命」に翻弄される4人の男女、物語は、いま極限まで加速する。
米紙WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)年間ベスト10小説、アメリカ・デイヴィッド・グーディス賞を日本人で初受賞、いま世界で注目を集める作家の、待望の最新作!


謎のカルト教団と革命の予感。4人の男女の「運命」が重なり合い、この国を根底から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。ついに刊行。

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【内容情報】
謎のカルト教団と革命の予感。自分の元から去った女性は、公安から身を隠すオカルト教団の中へ消えた。絶対的な悪の教祖と4人の男女の運命が絡まり合い、やがて教団は暴走し、この国を根幹から揺さぶり始める。神とは何か。運命とは何か。絶対的な闇とは、光とは何か。著者最長にして圧倒的最高傑作。

【著者情報】
中村文則(ナカムラフミノリ)
1977年、愛知県生まれ。福島大学卒業。2002年「銃」で新潮新人賞を受賞しデビュー。04年『遮光』で野間文芸新人賞、05年「土の中の子供」で芥川賞、10年『掏摸』で大江健三郎賞を受賞。『掏摸』の英訳版が米紙ウォール・ストリート・ジャーナルで2012年のベスト10小説に、『悪と仮面のルール』の英訳版が同紙の2013年ベストミステリーの10作品に選出される。また2014年、ノワール小説の分野に貢献した作家に贈られるアメリカの文学賞「デイビッド・グーディス賞」を日本人として初めて受賞した。

 出版社の応接室で顔を合わせた時、部屋には新刊の増刷分の見本が届いたところだった。黄色い帯に、親交のある作家・西加奈子さんの推薦コメントが躍る。それを見た瞬間、喜びを表すよりも、不安そうな顔に。「直木賞の受賞で一番忙しい時期に、迷惑かけちゃったんじゃないかなぁ」。編集者が「快諾してくれた」と伝えても、「本当に大丈夫だったかなぁ」と心配そう。優しい気遣いを見せる。その表情が、今作のことを話し始めると一変した。「今の政治・社会の状況に対し、言うべきことを言っておかないときっと後悔する」。強い口調になった。

 小説は、性的快楽を使って信者を集める教団「X」と、そこに出入りする若い男女を軸に進む。教団内の陰謀など、サスペンス要素で読者を引き込むが、宗教のことだけを描いているわけではない。宇宙の成り立ちや生命の起源、格差社会、テロのことまで、世界のあらゆるものごとを作中に取り込んだ。「文学の大きなテーマは人間を描くこと。そこに現代ならではの手法があるのではと考えたんです。最新の科学的知見を使えば、ドストエフスキーの時代にはできなかった描き方ができる」

 そんな多様な要素からなる物語の中で、登場人物の言葉として書かれる政治的なメッセージが、とりわけ強い印象を残す。たとえばある人物は<個人より全体、国家を崇(あが)めよ。その熱狂の中に身を置くことには快楽があった>と第二次大戦を振り返る。靖国神社や戦争責任など、現代につながる問題について自身の見方を反映させた。「戦時中の日本を考えると、一億玉砕という言葉のもと、国家万歳と皆が言う、超宗教といっていいような状態だった。集団で何かを崇めることはたしかに気持ちいいんだろうと思う」。今、抱いているのはそんな「全体主義」の方向に社会が向かっているのではという危機感だ。「自分たちと違うものを排除する方向に少しずつ、少しずつ世の中全体が引っ張られている。何かを崇める気持ちよさはスポーツで叶(かな)えればいい。国家に託すのはすごく危険。空気がすっかり変わってからでは遅い。まずは冷静に考える材料を示したい」

 二〇〇二年のデビュー以来、悪とは何か、人間とは何かを掘り下げ続けてきた。ここ数年は、作家として大きな飛躍の時期だった。大江健三郎賞を受けた『掏摸(すり)』と『悪と仮面のルール』の英訳版が一二、一三年と連続で、米ウォールストリート・ジャーナル紙の年間ベスト10小説に選ばれたほか、昨年は、ノワール小説(犯罪の暗部を描く小説)の書き手に贈られる米デイビッド・グーディス賞を受けた。ほかの言語での翻訳も進み、読者は世界に広がりをみせる。今作で強く打ち出したメッセージ性は、そうした執筆環境の変化も影響しているのだろうか。「初めて世界の読者に問いたいという意識を持って書きました。たとえば中東の問題。過激派にミサイルを撃てば終わるのか。そうではないから、9・11からずっと繰り返している。どうして過激派が生まれるのか、行為の奥にあることを考えなければ、問題は永遠に終わらない」

 作家でも、芸能人でも、政治的なことには触れない方が無難だという風潮が強まっている。「いろんな考え方があるけれど、僕は、社会に対して自分の考えを表明するべきだという考えです」と明言する。「この混迷の時代に、単なる痛快エンターテインメントを書く気はしないですね。世の中の流れに、真正面から向き合っていきたい」
 (中村陽子)


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