小笠原からアメリカ西海岸へ! 壮大な冒険ロマン 『桑港(そうこう)特急』 (山本一力 著)

小笠原からアメリカ西海岸へ!
壮大な冒険ロマン
『桑港(そうこう)特急』 (山本一力 著)

週刊文春2015.03.02 07:00

http://shukan.bunshun.jp/articles/-/4862


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やまもといちりき/1948年高知県生まれ。旅行代理店勤務、コピーライターなどを経て、97年「蒼龍」でオール讀物新人賞を受賞。2002年『あかね空』で直木賞を受賞。『損料屋喜八郎始末控え』シリーズ、『ジョン・マン』シリーズ、『つばき』『べんけい飛脚』など著書多数。 文藝春秋 1650円+税

「桑港特急」山本一力著(文藝春秋 1,782円税込)


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大海原を越え、黄金の新大陸に轟く大冒険活劇!

小笠原生まれの兄弟が一攫千金を夢見て向かったのは、ゴールドラッシュに沸く西海岸。新天地で待ち受けるのは大悪党との対決だった!


桑港特急
文藝春秋
山本 一力

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山本一力 文藝春秋発行年月:2015年01月29日 予約締切日:2015年01月27日 ページ数:5


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発売日: 2015年01月29日頃
著者/編集: 山本一力
出版社: 文藝春秋
サイズ: 単行本
ページ数: 557p
ISBNコード: 9784163901954

【内容情報】
江戸末期の文政年間、小笠原の父島に漂着した娘とアメリカ人の元捕鯨船乗りの間に生まれた兄・丈二、弟・子温。米国の捕鯨船フランクリン号の副長だった弱冠二十歳の日本人・ジョン・マンとの運命的な出会いにより、大航海への夢を二人は募らせていく。当時、海の向こうのアメリカは西部のゴールド・ラッシュで沸いていた。一攫千金を夢見た人々が殺到し、一族の事業拡大を狙うチャンタオも、片腕のルーパンとサンフランシスコ(桑港)へ向かう。途中立ち寄った父島では、丈二と子温の素質を見抜き船に乗せた。無事にたどり着いた新天地でルーパンはパンダ作業着店を開業。店を手伝う丈二と子温たちが、妻を殺したサントス一味に復讐を誓うリバティー・ジョーと出遭ったことから思わぬ展開にー卑怯な手段も辞さず罪なき人々も簡単に命を奪うが、用心深い極悪集団を相手にはじまった大作戦。日・米・中の友情と勇気が仕掛けた死闘の行方はいかに!?

【著者情報】
山本一力(ヤマモトイチリキ)
1948年、高知県生まれ。都立世田谷工業高等学校電子科卒業。旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空会社関連の商社勤務などを経て、97年「蒼龍」で第七十七回オール讀物新人賞受賞。2002年『あかね空』で第百二十六回直木賞を受賞

電子書籍


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若き兄弟が夢と勇気を胸に、ゴールドラッシュに沸く新大陸へ挑む。著者会心の大長編スペクタクル!ときは江


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評者中江 有里 プロフィール

「ゴールド・ラッシュ」というと、遠く海の向こうの出来事のように思うが、本書で描かれるのは一攫千金を夢見て殺到した人々の冒険劇であり、愛する人を奪われた人々の復讐劇でもある。最後まで目が離せない血湧き肉躍る物語だ。

 江戸時代末期、小笠原の父島に漂着した娘と島に移住していたアメリカの元捕鯨船乗りの間に生まれた長男・丈二(じようじ)と次男・子温(しおん)。アメリカと日本の血を引く二人は、弱冠二十歳にして捕鯨船フランクリン号の副長を務めるジョン・マンと出会い、島を出て父と同じ船乗りになろう、と決める。

 一方、砂金発見の情報を聞きつけた男たちは、こぞって「エル・ドラド(黄金郷)」へと向かう。鯨の乱獲で捕鯨に見切りをつけた者も大勢いるが、一族の拡大を狙う中国人チャンタオと彼の片腕のルーパンは、丈二と子温の素質を見抜いて船に乗せ、小笠原からアメリカへと旅発つ。

 腕利きガンマンのリバティー・ジョーは砂金採りのブラナンの元で働くが、ある日金を狙う一味によって妻を殺害される。復讐を誓ったジョー。

 いつの時代も、カネと名誉と復讐は人を惹きつけて離さない。その中において、丈二と子温の兄弟の純粋さが際立つ。島の中で生まれ育った二人にとってカネは遊び道具、砂金に踊らされる大人たちと対極にある。

 具体的な野望ではなく、生涯のバディとして互いを守り合うこと。父やジョン・マンのような船乗りになり、広い世界を見ることを目指す。そんな真の冒険心を持つ若き二人が、ゴールド・ラッシュを巡る死闘で、しっかりと存在感を見せてくれるのが頼もしい。

 またルーパンが新天地で開業した作業着店も興味深い。ゴールド・ラッシュの波を受けて、砂金採りに必要な丈夫な作業着の注文が後を絶たない。砂金を目指すのではなく、砂金の周辺にはすでにビジネスチャンスがあることを素早く嗅ぎ取って商売し、さらに捨てられた捕鯨船の帆布を使って、新しい商品を開発するところも目を瞠(みは)った。

 日本・米国・中国のタッグが戦いを挑む極悪集団はそれぞれすこぶるキャラクターが立っていて面白い。卑劣な手段で命を奪い、平気で仲間をも殺(あや)める、一筋縄ではいかない相手に、三カ国タッグチームがいかに勝利を得るかが読みどころ。

 小笠原の父島から始まり、桑港(サンフランシスコ)へと向かう物語は、ゆっくりと進んだ船が、中盤から一気に大波に揺られ、ラストの高波へと立ち向かってゆく。

 読み終わって、壮大な航海を楽しんだ心地にある。




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