阿部寛『下町ロケット』 松平定知氏のナレーションが絶妙だ

阿部寛『下町ロケット』 松平定知氏のナレーションが絶妙だ
NEWSポストセブン2015.10.25 16:00

http://www.news-postseven.com/archives/20151025_358796.html?PAGE=1#container

 日曜夜の話題を当面、この作品が席巻する可能性がある。それほどの滑り出しといえそうだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 10月18日から始まった
『下町ロケット』(TBS日曜午後9時)。初回視聴率は16.1%とロケットスタート。ネット上でも話題が沸騰している。原作は池井戸潤の同名小説で製作スタッフも大ヒットドラマ『半沢直樹』と同じ。となれば、高視聴率も当然と思う人がいるかもしれない。

 が、ドラマの魅力を知り尽くして目が肥えた今時の視聴者たちは、そう甘くはない。前評判やブランドだけでは、見てもらえない。話題にしてもらえない。

 初回スペシャル枠の2時間、私自身、画面に吸い寄せられてしまった一人。その理由とはいったい何だろう? このドラマにどんな特筆すべき工夫や仕掛けが潜んでいるのだろうか? 3つの点から推測してみた--。

●役者同士で感情を増幅させる、現場の恐るべき集中力

 主役は、町工場・佃製作所の二代目社長、佃航平(阿部寛)。理不尽な特許侵害で訴えられ資金繰りに窮し、会社を手放すことを覚悟し、売却後に社長を辞めると言う彼を、経理部長の殿村直弘(立川談春)が必死に止める。そのシーンについて、阿部はこう振り返っている。

「号泣しました。現場でも大泣きしました」「何回見てもあそこのシーンで感極まるものがあって…」(「モデルプレス」2015.10.12)。

 このシーンは一例に過ぎない。他の場面でも役者たちの極度の「集中」ぶりが、ひしひしと、痛いほど画面を通して伝わってくる。

 全身全霊をかけてセリフを言う姿に、他の役者が影響され、感情がまた高ぶっていく。感極まって流れる涙。それがまた、別の役者に影響し……ドラマの撮影現場に、そうした「純粋状態」が生まれているのではないか。

 一度でも芝居というものをやったことがある人なら、想像できるだろう。緊迫してピュアで極度に集中した場が生まれると、相手の感情が自分に乗り移ってくる。もはや「演じている」という自意識や、演技の工夫とかセリフをどうしようといった小手先のねらいは、頭の中から消えてしまう。ただひたすら、目の前の役者の感情を受け止め、それに反応する、「純粋な存在」になっていく。そんな役者たちの姿を、『下町ロケット』の初回で、見せつけられてしまった気がする。

 だから、多くの視聴者が2時間、目が離せなかったのだ。これからの回もそんな純粋状態が果たして持続できるのかどうか。そのあたり、見所だ。

● ナレーションの秘密

 存在感のある役者たちに目を奪われ、ナレーションなんて端役と思いがち。しかし、ナレーションとは、物語の「土台」を作る役割。特に『下町ロケット』のようにリアルな企業活動を描き、錯綜する人間関係をテーマにするドラマでは、ナレーションの役割はさらに重要であり、その質も鋭く問われる。

 というのも、込み入った事情を視聴者がちゃんと理解できなければ、物語の盛り上がりも人々の苦悩ぶりも、つかめないからだ。

 だが、もし銀行の専門用語を伝えるナレーションが無味乾燥、説明的口調だったら? もう面倒くさくて、聞いていられないだろう。あるいは感情過多だったり、妙なクセがあればたちまち、ドラマの緊張感を削ぎ、耳障りで視聴者も気が散ってしまうはず。

 その点、松平定知氏のナレーションは絶妙だ。落ち着いた口調の中に深み、信頼感、静かな抑揚が潜んでいる。噛んで含めるような成熟した響き。そう、NHKの歴史番組「その時歴史が動いた」の、あの口調。

 ただの説明ではなくて、いきいきと、言葉が「生きたもの」として伝わってくる。だから、融資に関する経済用語も宇宙技術開発のことも、素直に耳から入ってくる。視聴者が言葉を受け入れ、事情を理解できるのだ。

 そうした理由から、池井戸ドラマには特に「上手なナレーター」が必要不可欠になる。きっと思い出される方もいるだろう。『半沢直樹』の時は、元NHK・ベテランアナウンサーの山根基世さんの声が、しっとりと落ち着いて響いていたことを。

 真実に迫る、信ぴょう性のあるナレーション。それがドラマの土台をしっかりと支えている。すべて計算されている。ナレーターを選ぶのは演出家や制作陣の仕事。まさに、慧眼だ。

●メディアミックスの新たな挑戦

『下町ロケット』の原作は、第145回(2011年上半期)直木三十五賞受賞作。文庫版を含め累計127万部を超えるベストセラー。これがドラマの前半の物語の土台になる。

 では後半は? 続編『下町ロケット2 ガウディ計画』が下敷きになる予定とか。しかも続編は今、朝日新聞で連載中なのだ。ドラマ放映中の11月5日に書籍となって刊行されるという。

 つまり、TV放送、新聞連載、出版とがリアルに同時進行する異例のメディアミックス。文字と映像。文学とドラマ。そこに新しい“臨場感”とスリルがいかに生まれるのか。その点も目が離せない。

ドラマも開始 大注目『下町ロケット』続編の読み所を紹介
NEWSポストセブン2015.10.19 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20151019_357451.html

 作家・池井戸潤氏の直木賞受賞作が原作の連続ドラマ『下町ロケット』(TBS系列/毎週日曜21時~)が放送中だが、ドラマの撮影と並行して、もうひとつの大きな“計画”が進行していた──。

 池井戸氏が書き下ろした『下町ロケット』の続編が、ドラマ放映中の11月5日に発売されるのである。

 しかもこの作品、ドラマの後半5話の原作になるという。大注目の新刊『下町ロケット2 ガウディ計画』の読み所を紹介しよう。


画像


「下町ロケット2 ガウディ計画 」池井戸潤著(小学館 1,620円税込)


画像


下町ロケット2 ガウディ計画
小学館
2015-11-05
池井戸 潤

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 下町ロケット2 ガウディ計画 の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



下町ロケット2 ガウディ計画 [ 池井戸潤 ]
楽天ブックス
池井戸潤 小学館発行年月:2015年11月05日 ページ数:378 サイズ:単行本 ISBN:978


楽天市場 by 下町ロケット2 ガウディ計画 [ 池井戸潤 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


発売日: 2015年11月05日頃
著者/編集: 池井戸潤
出版社: 小学館
サイズ: 単行本
ページ数: 378
ISBNコード: 9784093864299

【内容情報】(出版社より)
直木賞受賞作に待望の続編登場!

その部品があるから救われる命がある。
ロケットから人体へーー。佃製作所の新たな挑戦!

ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年ーー。大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていた。
量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業とのコンペの話が持ち上がる。
そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は・・・・・・。
医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった。

日本中に夢と希望と勇気をもたらし、直木賞も受賞した前作から5年。
遂に待望の続編登場!

 * * *
 国産ロケットのエンジン部品の開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年──。佃製作所は、またしても窮地に立たされることになる。

 量産を約束したはずの取引は試作品段階で打ち切られ、ロケットエンジンの開発では、NASA出身の社長が率いるライバル企業・サヤマ製作所とのコンペの話が持ち上がる。

 そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者、特に子どもの患者を救うことができるという。

 しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所にとってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は……。

 医療界に蔓延る様々な問題点や、地位や名誉に群がる者たちの妨害が立ち塞がるなか、佃製作所の新たな挑戦が始まった──。

 また、この作品にはもうひとつ大きな“仕掛け”が施されている。実は毎週土日、朝日新聞に連載小説として掲載されているのである。

 10月3日よりスタートしたこの連載は、単行本の発売前は試し読み版、発売後はハイライト版として読むことができる。また、ドラマが後半部分に差し掛かると、映像と同時に読み進めていく“臨場感”を楽しむこともできるというわけだ。

 ドラマ、新聞、書籍が連動するという、これまでに例のない新たなメディアミックスが展開されている。

※週刊ポスト2015年10月30日号

「下町ロケット」 池井戸潤著(小学館 1,836円税込)


画像


下町ロケット
小学館
池井戸 潤

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 下町ロケット の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



下町ロケット [ 池井戸潤 ]
楽天ブックス
池井戸潤 小学館直木賞 芥川賞 直木 芥川 池井戸 潤 いけいど じゅん したまち ろけっと 発行年


楽天市場 by 下町ロケット [ 池井戸潤 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


発売日: 2010年11月
著者/編集: 池井戸潤
出版社: 小学館
サイズ: 単行本
ページ数: 407p
ISBNコード: 9784093862929

【内容情報】
取引先大企業「来月末までで取引終了にしてくれ」メインバンク「そもそも会社の存続が無理」ライバル大手企業「特許侵害で訴えたら、…どれだけ耐えられる?」帝国重工「子会社にしてしまえば技術も特許も自由に使える」-佃製作所、まさに崖っプチ。

【著者情報】
池井戸潤(イケイドジュン)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒業後、三菱銀行(当時)入行、95年退職。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し小説家デビュー。10年『鉄の骨』で吉川英治文学新人賞を受賞

「下町ロケット」(小学館文庫) 池井戸潤著(小学館 777円税込)


画像

あの直木賞受賞作が、待望の文庫化!

「お前には夢があるのか? オレにはある」

研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。
圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。
特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていたーー。
男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!
第145回直木賞受賞作。

池井戸潤、絶対の代表作
(解説・村上貴史)


下町ロケット (小学館文庫)
小学館
2013-12-21
池井戸 潤

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 下町ロケット (小学館文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



下町ロケット [ 池井戸潤 ]
楽天ブックス
小学館文庫 池井戸潤 小学館BKSCPN_【楽天ブックス夏の文庫2015】 発行年月:2013年12


楽天市場 by 下町ロケット [ 池井戸潤 ] の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル


発売日: 2013年12月21日
著者/編集: 池井戸潤
出版社: 小学館
サイズ: 文庫
ページ数: 493p
ISBNコード: 9784094088960

【内容情報】
研究者の道をあきらめ、家業の町工場・佃製作所を継いだ佃航平は、製品開発で業績を伸ばしていた。そんなある日、商売敵の大手メーカーから理不尽な特許侵害で訴えられる。圧倒的な形勢不利の中で取引先を失い、資金繰りに窮する佃製作所。創業以来のピンチに、国産ロケットを開発する巨大企業・帝国重工が、佃製作所が有するある部品の特許技術に食指を伸ばしてきた。特許を売れば窮地を脱することができる。だが、その技術には、佃の夢が詰まっていたー。男たちの矜恃が激突する感動のエンターテインメント長編!第145回直木賞受賞作。

【著者情報】
池井戸潤(イケイドジュン)
1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年に『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を受賞

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0