【書評】  夢みる教養 文系女性のための知的生き方史 小平麻衣子 著 (河出ブックス・1620円)

【書評】
夢みる教養 文系女性のための知的生き方史 小平麻衣子 著 (河出ブックス・1620円)
東京新聞2016年10月23日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2016102302000188.html


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◆向上心をそぐ抑圧の構造

「夢みる教養」(河出ブックス) 小平 麻衣子著(河出書房新社 1,620円税込)


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河出ブックス 小平 麻衣子 河出書房新社発行年月:2016年09月13日 予約締切日:2016年09


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商品基本情報
発売日: 2016年09月13日
著者/編集: 小平 麻衣子
出版社: 河出書房新社
サイズ: 単行本
ページ数: 208p
ISBNコード: 9784309624976

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
女性にとって「教養」とは何か。深い知識や理解力から、読んでおくべき本のセット、洗練された趣味やふるまい、だれでも知っているべき一般常識にいたるまで、都合よく曖昧に使われてきた語「教養」。そこには、それぞれの時代に求められる女性像が投影されてもきた。大正人格主義から、通俗小説の中の「教養」、“文学少女”と雑誌投稿、戦後文学部の“女性化”、カルチャーセンター通いや“自分磨き”までー。「教養」という言葉に折りたたまれた歴史的経緯をたどりながら、前向きに学ぶ女性たちを振り回す、実現しない夢の構造を解き明かす。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 “人間”にはエリートしかなれないというよく知られた事実ー通俗小説からみる大正教養派
第2章 東大生“以外”はどんな本を読んできたかー女の教養の範囲
第3章 恋愛は女の革命か!?-マルクス主義と人文的教養の凋落
第4章 差別するにはまず女性を活用すべしー「教養」の二重底
第5章 向上心があなたをダメにするー教養雑誌の投稿から
第6章 “文学少女”はいないー文豪たちの邪悪な共同体
第7章 お稽古も命がけー戦中における“ほんとうの教養”の呪縛
第8章 戦後文学部の女性化ー“役に立たなさ”の大暴落
第9章 文系バブル崩壊ーその後に残るもの

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
小平麻衣子(オダイラマイコ)
1968年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、慶應義塾大学教授。日本近代文学におけるジェンダー/セクシュアリティを、さまざまなメディアや文化の広がりのなかで分析している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

[評者]川崎賢子=文芸評論家

 出版不況といわれてひさしい。ジャーナリズムも一部の文学賞発表時ににぎわいをみせるだけ。人文学の知は、大学再編の標的とされ、文学部の消滅など、いい話はない。

 資源の乏しい日本が、教育研究を公共の財産として重視した時代は終わった。OECD(経済協力開発機構)加盟国のなかで、日本は、国内総生産に占める学校教育費の比率、政府総支出における学校教育費ともに低く、私的負担が大きく、給付型奨学金は発達していない。ノーベル賞受賞の大隅良典氏の「役に立つかどうかという観点だけで科学を捉えると、社会をダメにする」というコメントは重い。

 実学ですら苦しいのだからまして虚学、文学をや、という見方もあろう。大学教育に経済的メリットを露骨に求めるようになってから、反知性主義に拍車がかかったと、嘆く向きもある。

 だがちょっと待って。そこには性差(ジェンダー)の問題が根深く横たわっているのだ、というのが、本書の主張である。

 女性は、読者として学生として、長く文系教養のお客様だった。戦後、新制大学の膨張する過程で女性には文系が向いていると、幻想をもたれた時代もある。だが女性の教養、とくに教養としての文学は「知」とみなされることはなく、専門化や、職業化の道を閉ざされてきた。本書は「教養」という曖昧で都合よくつかわれてきた概念が、女性たちにとって抑圧としてはたらいた近代の歴史を、その構造と心性の両面から掘り起こす。

 吉屋信子や野上弥生子が描いた「教養」のありよう。女性投稿者に対する川端康成の「指導」が投稿者の芽をつむ側面をもっていたこと。雑誌メディア、文壇という文学者共同体、そして大学文学部が女性の向上心をミスリードしてきたのではないかという指摘。

 自己実現や出世が可能だとかんちがいして文学の道を選ぶ者がなくなった後で、「ダメをみがく」例が挙げられているのもおもしろい。

 <おだいら・まいこ> 1968年生まれ。慶応義塾大教授。著書『女が女を演じる』。

◆もう1冊 

 竹内洋著『大学の下流化』(NTT出版)。教育の大衆化で質が低下した大学、大衆に迎合する教養や知識人の実態を指摘する。


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竹内洋 NTT出版発行年月:2011年04月 ページ数:262p サイズ:単行本 ISBN:9784


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東大・京大からも消える教養主義、高学歴ワーキング・プア、競争なき教授たちと競争にさらされる大学……。


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