【書評】 『米中もし戦わば』ピーター・ナヴァロ著  日本を米中の手駒にさせない決意を固めよ

【書評】日本を米中の手駒にさせない決意を固めよ
NEWSポストセブン2016.12.21 16:00

http://www.news-postseven.com/archives/20161221_477622.html

 年末年始はじっくりと本を読む良いチャンスだが、本読みの達人が選ぶ書は何か。明治大学特任教授・山内昌之氏は、現在の米中関係を読み解く書として『米中もし戦わば 戦争の地政学』(ピーター・ナヴァロ・著/赤根洋子・訳/文藝春秋/1940円+税)を推す。山内氏が同書について解説する。

 * * *
 次期米大統領のトランプは、台湾の蔡英文総統と電話で会談し、中国への強硬姿勢を示した。これは、貿易収支や北朝鮮の問題をめぐり、中国政府から譲歩を引き出す演出かもしれない。しかし、危険な賭けであることは間違いない。

 米台の首脳は1979年の米中国交正常化以来、じかに接触を図っていなかったからだ。トランプの姿勢は中国を刺激したが、台湾を取引のカードにしないとも限らない。他方、中国の方では国際ルール違反や軍事的脅迫など他国から嫌われる行為を日常から繰り返している。

 本書は、「戦争の地政学」という副題を付けているが、心理戦から教育戦に至るまで中国の多面的な挑発活動を手際よく整理しており、日本も2017年にますます圧力を受ける中国の強権ぶりがシミュレーションや設問解答の形式でよく描かれている。なかでも、日本を威圧するサイバー戦争の力はもとより、三戦の巧みさは日本を圧倒している。

 その第一は、心理戦であり、外交圧力、風評、嘘、嫌がらせを使って不快感を表明し覇権を表明するなどはお茶の子さいさいなのだ。

 第二は、メディア戦に他ならない。ワシントンにつくった中央電視台(CCTV)のスタジオは、ニセCNNともいうべきであり、本物のニュースに宣伝をまぎれこませ4000万以上の米国人をだましているというのだ。

 第三は、法律戦であり、現行の法的枠組みの中で国際秩序のルールを中国の都合に合わせて勝手に解釈し平気で書き換えることも辞さない。

 中国が多国間協議を嫌い、二国間協議でフィリピンやベトナムを抑え込もうとするのは常套戦術である。ASEAN諸国が中国に抑え込まれるのは多国間協議をできずに、個別の利害につけこまれるからだ。トランプと付き合う日本は、台湾を切り札にしかねない米中の「大取引」に反対し、日本を両国の手駒にさせない決意を改めて固めるべきだろう。

※週刊ポスト2017年1月1・6日号

「米中もし戦わば 戦争の地政学」 ピーター・ナヴァロ著, 赤根 洋子訳(文藝春秋 2,095円税込)


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【内容情報】(出版社より)
◆トランプ政策顧問が執筆!◆

・経済成長のために必要な原油の中東からの輸送ルートは、太平洋地域の制海権をもつアメリカによって抑えられている。
・空母と同盟国の基地を主体にした米軍に対抗するため、安価な移動式のミサイルで叩くという「非対称兵器」の開発を中国は進めてきた。
・南シナ海や尖閣諸島の海底に巨大な油田が発見された。
・南シナ海や尖閣諸島を囲む第一列島線。その内側の制海権を中国は握りつつある。
・歴史上、既存の大国と台頭する新興国が対峙したとき、戦争に至る確率は70%を超える。

経済、政治、軍の内情……。
最前線の情報をもとに、米中戦争の地政学を鮮やかに読み解く。
トランプの政策顧問による分析で、日本の未来が見えてくる!

解説:飯田将史(防衛省防衛研究所 地域研究部 中国研究室 主任研究官)

【目次】

■第一部 中国は何を狙っているのか?

第1章 米中戦争が起きる確率
第2章 屈辱の一〇〇年間
第3章 なぜマラッカ海峡にこだわるのか?
第4章 禁輸措置大国アメリカ
第5章 中国共産党の武力侵略

■第二部 どれだけの軍事力を持っているのか?

第6章 軍事費の真実
第7章 第一列島線と第二列島線
第8章 「空母キラー」の衝撃
第9章 地下の万里の長城
第10章 マッハ10の新型ミサイル
第11章 機雷による海上封鎖
第12章 深海に潜む核兵器
第13章 ヨーロッパの最新軍事技術を手に入れる
第14章 小型艦が空母戦闘群を襲う
第15章 第五世代戦闘機の実力
第16章 宇宙戦争
第17章 サイバー戦争
第18章 国際世論の操作
第19章 「非対称兵器」が勝負を分ける

■第三部 引き金となるのはどこか?

第20章 台湾という不沈空母
第21章 問題児・北朝鮮
第22章 尖閣諸島の危機
第23章 ベトナムの西沙諸島
第24章 南シナ海の「九段線」
第25章 排他的経済水域の領海化
第26章 水不足のインド
第27章 火の付いたナショナリズム
第28章 地方官僚の暴走
第29章 中露軍事同盟の成立

■第四部 戦場では何が起きるのか?

第30章 質の米軍vs. 量の中国軍
第31章 米軍基地は機能するのか?
第32章 中国本土への攻撃
第33章 海上封鎖の実行
第34章 どんな「勝利」が待っているのか?

■第五部 交渉の余地はあるのか?

第35章 米軍はアジアから撤退すべきか?
第36章 中国の経済成長は何をもたらすのか?
第37章 貿易の拡大で戦争は防げるのか?
第38章 核抑止力は本当に働くのか?
第39章 中国との対話は可能か?
第40章 「大取引」で平和は訪れるのか?

■第六部 力による平和への道

第41章 「戦わずして勝つ」唯一の方法
第42章 経済力による平和
第43章 軍事力による平和
第44章 同盟国を守り抜く
第45章 中国の脅威を直視する

■解説 飯田将史(防衛省防衛研究所 主任研究官)
「日本の安全をどう守るのか」


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ピーター・ナヴァロ 赤根 洋子 文藝春秋発行年月:2016年11月29日 予約締切日:2016年11


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商品基本情報
発売日: 2016年11月29日
著者/編集: ピーター・ナヴァロ, 赤根 洋子
出版社: 文藝春秋
サイズ: 単行本
ページ数: 416p
ISBNコード: 9784163905679

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
米国の一級の専門家たちが分析。トランプ政策顧問が執筆!

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1部 中国は何を狙っているのか?/第2部 どれだけの軍事力を持っているのか?/第3部 引き金となるのはどこか?/第4部 戦場では何が起きるのか?/第5部 交渉の余地はあるのか?/第6部 力による平和への道

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
ナヴァロ,ピーター(Navarro,Peter)
カリフォルニア大学アーバイン校教授。専門は経済学と公共政策。CNBCの経済番組ではレギュラー出演者としても活躍している。「ビジネス・ウィーク」「ニューヨーク・タイムズ」「ウォールストリート・ジャーナル」等、各紙誌にも寄稿している

赤根洋子(アカネヨウコ)
翻訳家。早稲田大学大学院修士課程修了(ドイツ文学)

飯田将史(イイダマサフミ)
1972年生まれ。慶応義塾大学修士、スタンフォード大学修士。1999年防衛庁防衛研究所入所。スタンフォード大学客員研究員(2011年)、米海軍大学客員研究員(2013年)などを経て、2016年より防衛研究所中国研究室の主任研究官を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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