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zoom RSS 香山リカ氏解説、権力側にだけ表現の自由許される近未来描く書  『ひょうすべの国』(笙野頼子著

<<   作成日時 : 2016/12/27 14:56   >>

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香山リカ氏解説、権力側にだけ表現の自由許される近未来描く書
NEWSポストセブン2016.12.25 16:00

http://www.news-postseven.com/archives/20161225_477723.html?PAGE=1#container


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【精神科医の香山リカ氏】

 年末年始はじっくりと本を読む良いチャンスだが、本読みの達人が選ぶ書は何か。精神科医の香山リカ氏は、国家の影を読み解く書として『植民人喰い条約 ひょうすべの国』(笙野頼子・著/河出書房新社/2000円+税)を推す。香山氏が同書を解説する。

 * * *
 作家・佐藤優氏のデビュー作は『国家の罠』だが、2017年はあらゆる場所にいま以上に「国家の影」がチラつく年になるだろう。

 たとえば、沖縄・高江で機動隊員がヘリパッド建設に抗議する住民を「土人」と呼んだ。どう考えても明らかな差別発言だ。ところが、沖縄・北方担当大臣は国会で「差別であるとは断定できない」と述べた。差別かどうかは国家が決める、ということだ。

 差別問題だけではない。冒頭の佐藤氏とジェンダー問題の著作で知られる北原みのり氏との対談集『性と国家』はそのタイトル通り、最もプライベートな領域である「性」にも「国家の影」が忍び寄っているというのがテーマだ。

 佐藤氏は、「国の性管理においては、圧倒的にジェンダー非対称で、女性がその対象になって搾取と暴力と差別の対象になっている」と言い、北原氏はそこでの免罪符として使われるのが「女性の自己決定」という概念だと鋭く指摘する。

 さらに強烈なのが本書。人喰い条約TPPが批准され、「NPOひょうげんがすべて(ひょうすべ)」が権力の座につく国“にっほん”。差別、格差、原発、戦争もオーケー、カネがなければ病人はたちまち死亡か安楽死、「表現の自由」は権力側だけに許されており、「そこに報道はない、言論もない、芸術も真実も告発も表には出られない」。まさに地獄の近未来が、ひとりの女性の生涯を軸に疾走感あふれる文体で描かれる。

「恐ろしい、でもTPPはトランプ就任で反故になりそうだからよかった」と安堵するのもつかの間、ふと思う。「いや、もうこの国はこうなっちゃってるんじゃないの?」。笙野氏もあとがきでたとえTPPが不成立でも、「どうせひょうすべはまたやって来るよ。皆さんご注意を」と記している。

 では、どうすればよいのか。佐藤氏と北原氏は濃密な対話の最後に「もし自分なら」と想像できなくなるのが怖い、と述べる。笙野氏が世に送った黙示録的小説を、自分のこととして読めるか。そこにしか希望は残されていない。

※週刊ポスト2017年1月1・6日号

「ひょうすべの国」 笙野 頼子著(河出書房新社 2,160円税込)


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商品基本情報
発売日: 2016年11月29日
著者/編集: 笙野 頼子
出版社: 河出書房新社
サイズ: 単行本
ページ数: 280p
ISBNコード: 9784309025209

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
千葉県S倉市に住む埴輪詩歌は、「指導教授」でもある最愛の祖母・豊子をひょうすべに殺される。母が営む花屋は世界企業に潰され、父は「少女遊郭」に入り浸り死んだ。やむなく詩歌は少女遊郭の「ヤリテ」見習いに入るがたちまち馘、そこで出会った夫も、人喰いの餌食に。時は流れ、権力者からの求愛、世界を揺るがす手紙がもたらされたのだが…詩歌の“生”とは何であったのか!?地に堕ちた自由と民主主義を問い直す、予言的物語。

【目次】(「BOOK」データベースより)
植民人喰い条約 ひょうすべの国
姫と戦争と「庭の雀」

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
笙野頼子(ショウノヨリコ)
1956年、三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。81年「極楽」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、『タイムスリップ・コンビナート』で芥川賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記ー膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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