ギャンブル大国・日本で、カジノ導入に向けて絶対に不足しているもの

ギャンブル大国・日本で、カジノ導入に向けて絶対に不足しているもの
裏カジノ、グレー規制に踏み込めるのか
現代ビジネス2016年12月8日
伊藤 博敏ジャーナリスト

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50412


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日本はすでに「ギャンブル大国」

統合型リゾート(IR)推進法案(カジノ法案)が衆議院本会議で可決され、参院での審議を経て成立する可能性が高くなった(7日夕方現在)。
 
推進する議連や誘致する自治体、カジノ関連企業などは、先送りされる公算が強いと目されていただけに歓迎しているが、マスメディアの多くが反対の論調。その理由のひとつが、ギャンブル依存症対策が不十分だというもの。「カジノ法案反対」が多い世論調査も、依存性への危惧が最大理由だ。
 
実際、日本のギャンブル依存症は少なくない。厚生労働省の発表では、日本でギャンブル依存症を疑われる患者数は、成人の4・8%、536万人にのぼる。オーストラリアが2%、米国1・6%、香港1・3%、フランス1・2%、他の韓国、カナダ、スイス、ニュージーランドなどが1%未満であることを考えれば異常に多い。
 
こうした状況を受けて、共産党など反対政党だけでなく与党のなかにもカジノ法案に反対する議員はいるし、例え法案が成立しても、第二段階として必要なカジノの設置基準や規制を盛り込んだ実施法案の過程で、相当に厳しい規制策が取られるか、対策のための論議が活発になることが予想される。
 
ただ、ここで考えなければならないのは、カジノがギャンブル依存性を誘引するものではないことだ。現段階で4・8%という数字が示すように、日本は公営ギャンブルやパチンコ・パチスロというグレーゾーンの遊戯を含め、ギャンブルがあまりに多く、それが管理されることなく放置されている。
 
ギャンブル依存症には、元患者やその家族などが支援団体を作り、依存からの脱却を支援しているものの、基本的にはボランティア活動であり、支援には限りがある。必要なのは、カジノ解禁を機に、国がギャンブル総体を、依存性対策を含めて積極的に管理することではないだろうか。
 
これほど日常的にギャンブルが認知され、公に開催、営業されている国はないだろう。中央競馬は土日に開催され、平日は地方の公営競馬が担い、競輪、競艇、オートは土日、平日に関係なく、365日、どこかで必ず開催されている。しかも場外の馬券、車券、舟券売り場があるので博打に苦労することがない。

駅前や繁華街、国道など主な街道沿いには、パチンコ・パチスロ店が開業。12時間営業で客を誘引。こちらの賭博性は公営ギャンブル以上で、数時間で5万、10万円のカネが失われる。明らかなギャンブルだが、三店方式で換金されるために、風営法の縛りを受けた遊戯という建前だ。
 
長引く不況の影響で、公営ギャンブルもパチンコ・パチスロも顧客の単価を落としているものの、パチンコ・パチスロが19兆円で公営ギャンブルが5兆円。認知されたギャンブルが、これだけの規模で行われているわけで、まさにギャンブル大国だ。

依存性患者が出ない方がおかしいが、その対策を担う役所はなく、競馬が農水省、競輪が経産省、パチンコ・パチスロが警察庁という縦割り行政のなか、天下り機関として共存共栄の関係にあるため、規制や対策よりむしろ奨励策が取られ、ギャンブル依存症に国民を誘引している。

それでもまだ刺激が足りない客のために用意されているのが、裏カジノである。こちらは完全な非合法だが、海外で勝負の早い、金額の大きいバカラなどを経験した小ガネ持ちや富裕層は、認可されたギャンブルでチマチマと遊ぶことでは満足できず、そこに暴力団と組んだ裏カジノ業者が場を提供する。

当然、グレーゾーン規制も進むはず

非合法ゆえに統計数字などないが、都内の盛り場では必ず開帳されており、摘発されるのは氷山の一角。野球賭博にハマった巨人軍選手やオリンピック候補のバドミントン選手が出入りしていたことが昨年発覚して、多少、その存在が知られたが、「ワンランク上」を自認する遊び人たちが勝負しているので、掛金も巨額。シノギの少なくなった暴力団にとって貴重な収入源となっている。

カジノは、ギャンブル大国日本に、最後にやってきた世界標準のギャンブルである。だから影響を心配する向きがあるし、さらなるギャンブル依存性が指摘されるのだが、むしろ推進すべきは、縦割りを排除したギャンブル総体の国家管理なのである。

現在、カジノ誘致に熱心なのは横浜と大阪で、横浜は山下埠頭の約50ヘクタールにIRを構築、その外人観光客誘引施設のひとつとしてカジノを想定。大阪は湾岸部の人工島・夢洲約100ヘクタールへの誘致を計画、2025年国際博覧会の併設施設にしたいという意向を持っている。

両方とも、開設は2020年東京五輪の数年先であり、「ポスト東京五輪」を担い、訪日客を呼び込むインバウンドブームを継続させたい。従ってカジノはIRの中核ではあっても主体ではなく、リゾート訪日客を満足させる施設のひとつという考えだ。

だからといって、公営ギャンブルやパチンコ・パチスロのような「日本ルール」「役所ルール」で運営されるものではなく、世界的ルールの適用が求められ、運営にはMGMやサンズなどのカジノ大手が絡んでくる。

それだけに、厳しい規制もまた必須である。そこには、ギャンブル依存症対策を含めた「ギャンブルの国家管理」という発想が必要で、その管理から外れる裏カジノの徹底排除はもちろん、グレーゾーンに留め置かれているパチンコ・パチスロの新たな立ち位置、法的規制も必要になってくる。

それが、カジノ法案成立という新たな地平に立った日本の次のステップなのである。

「カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ!? 」高城 剛著(集英社 1,512円税込)


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【高城剛が現地徹底取材! 世界の最新IR(統合型リゾート)&カジノ最新事情】

●超党派の議員により、国会での法案審議に向けて動き始めたIR推進法案。
カジノは本当に、2020年東京オリンピック以降の日本経済を支える切り札と
なるのでしょうか?

●そのカギを握るのは、単なるカジノではなく、IR=統合型リゾートと呼ばれる、
カジノとホテルはもちろん、国際会議場や展示会場、劇場なども兼ね備えた、
巨大コンベンションも開催可能な施設を実現すること。

●しかし現在の日本で、カジノとIRの違いを理解している人は決して多くありません。

●シンガポール、マカオ、マニラ、フランス、アメリカ……本書は、著者・高城剛が
世界各国のカジノとIRの最新事情を、現地に赴いて詳細に取材したものです。

●さまざまな成功例、失敗例が教えてくれるのは、今後、もし日本がIRを導入して
世界から数多くの観光客を集めたいのであれば、まだどこにもないレベルの
魅力的なIR施設を作っていくしかない、という現実でした。

●IR施設導入に向けて、今後さらに議論が進んでいくであろう中、世界のカジノから
日本は何を学び、何を生かすべきなのか、高城剛がズバリ、解き明かします!

【目次】
第1章 なぜシンガポールは短期間で観光収入を3倍に増やせたのか?
第2章 マニラ急成長の秘密と、マカオ衰退の理由
第3章 世界一のカジノ国 フランス
第4章 90年代ラスベガスの成功と、近年のニューヨーク州のラスベガス化戦略
第5章 世界のカジノから日本は何を学び、何を生かすべきなのか?

【著者プロフィール】
高城 剛(たかしろ つよし)
1964年東京都葛飾区柴又生まれ。
日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、
メディアを超えて横断的に活動。自身も数多くのメディアに登場し、
NIKE、NTT、パナソニック、プレイステーション、
ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。
総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。
2008年より、拠点を欧州へ移し活動。
現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、
創造産業全般にわたって活躍している。


カジノとIR。日本の未来を決めるのはどっちだっ! ?
集英社
高城 剛

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商品基本情報
発売日: 2016年12月02日
著者/編集: 高城 剛
出版社: 集英社
サイズ: 単行本
ページ数: 240p
ISBNコード: 9784087860801

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
日本にカジノは本当に必要なのか?世界各国の最新事情を現地徹底取材。その可能性と解決すべき問題点が、今、明らかに!

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 なぜシンガポールは短期間で観光収入を3倍に増やせたのか?
「何もない国」ならではの危機意識
「導入するなら、カジノではなくIRだ!」 ほか
第2章 マニラ急成長の秘密と、マカオ衰退の理由
汚職と内紛の国からエンターテインメント・シティへ
「ラスベガス超え」を果たしたマカオ ほか
第3章 世界一のカジノ国フランス
世界で最も古くから社会文化としてカジノ施設が存在する欧州
観光客数ナンバーワン。フランスが不動の地位を保つ理由 ほか
第4章 90年代ラスベガスの成功と、近年のニューヨーク州のラスベガス化戦略
寂れた砂漠の街から一大歓楽街へ。バグジーが夢見たラスベガス
マフィアを追い出した大富豪ハワード・ヒューズ ほか
第5章 世界のカジノから日本は何を学び、何を生かすべきなのか?
最も見習うべきは、「外国人による外国人のためのIR施設」
シンガポール、マカオ、フィリピン以外のアジア各国のIR情勢 ほか

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
高城剛(タカシロツヨシ)
1964年東京都葛飾区柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。自身も数多くのメディアに登場し、広告に出演。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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