天下り組織急増も…参院審議入りカジノ法案に「3つの闇」

天下り組織急増も…参院審議入りカジノ法案に「3つの闇」
日刊ゲンダイ2016年12月8日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/195355


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自民党などの賛成多数で可決(C)共同通信社

「統合型リゾート(IR)推進法案」(カジノ法案)が6日の衆院本会議で、自民党などの賛成多数で可決された。自民党は7日の参院本会議で審議入りし、9日にも成立させたい考えだ。国民からカネを巻き上げるバクチを「成長戦略」と位置付け、マトモな審議もしない政府・与党の姿はまさしく「胴元」そのものだ。

 “バクチ法案”の闇は深い。恐ろしいのは「ギャンブル依存症」だ。厚労省の調査だと、国内のギャンブル依存症は536万人(2014年)。依存症の疑いがある人は成人全体の4・8%に達し、1%前後の欧米などと比べると極めて高い割合だ。「レジャー」と呼ばれるパチンコ・パチスロでもこの状況なのに、本格的な“バクチ”が合法化されたらどうなるのか。指摘されているのが次の3つの“闇”だ。

①依存症→自殺者が急増

 北海道立精神保健福祉センターがまとめたギャンブル依存症の報告書などによると、ギャンブル依存症は薬物依存症と同じカテゴリー。覚醒剤使用の疑いで再び逮捕された「ASKA」じゃないが、いったんギャンブル依存症になったら自力更生はかなり困難だ。そして依存症患者は〈アルコール・薬物依存症同様に、とらわれ、渇望、使用した際の量的制御困難〉に陥り、〈心理社会的状態の進行性の悪化〉で〈失踪、自殺傾向がみられる〉という。07~11年に同センターで診察した137人の依存症患者のうち、3割近い38人に〈自殺傾向〉がみられた。

ギャンブル依存症が社会問題となっている韓国のカジノ「江原ランド」では、00年に開業して以来、場内で50人以上が自殺したと報じられている。

②ヤクザとヤミ金が堂々とマネロン

「(米ギャングの)アル・カポネではないが、禁止しているからこそ地下に潜る」

 5日の参院政審正副会議で、自民党議員からこんな声が漏れたらしいが、バクチ法案の成立をヨダレを垂らして待ち構えている連中がいる。ヤクザとヤミ金業者だ。

「アル・カポネは強盗や殺人などで奪ったカネを配下に配り、カジノでルーレットなどで使わせた。店員は“仲間”だから当然、バカ勝ち。これを繰り返して大金を元手に事業に乗り出し、ひと財産築いた。ヤクザやヤミ金業者も必ずカジノに“仲間”を送り込む。ヤミ金業者は『仲間がいるから絶対もうかる』と言ってカネを貸すでしょう。結果的に多重債務者、自己破産は増加するのです」(警察ジャーナリスト)

③利権奪い合う霞が関役人

 国がバクチの「開場」を容認するのだから、規制は不可欠だ。

「ギャンブル依存症対策」「広告啓発」「反社会的勢力の排除」……。既にカジノを設置している各国の対策を挙げればキリがないが、問題は、対策を主導する組織のあり方だ。

 東京都がまとめたIRの調査報告をみると、「ギャンブル依存症の予防及び治療のための補助金配分の決定」(米・ネバダ州保健福祉省)、「依存症対策」(韓国・社会家族振興省、保健省)、「マネロン対策」(英・国家犯罪対策庁)など、対策を講じる運営主体の多くは官公庁。つまり、日本でもカジノ設置のために今後、厚労省や警察庁、経産省などが「対策」と称してバクチ利権に群がり、ベラボーな金額の予算を要求したり、天下り組織をつくったりする可能性が高い。ロクな審議もない法案がトントン拍子で進む原因はここにもある。

「依存症問題対策全国会議」事務局長の吉田哲也弁護士はこう言う。

「『何らかの対策をやる』と言いながら、その中身はまったく明らかになっていない。それなのに法案を通すのは大問題です。(官公庁利権についても)唐突に『カジノ管理委員会』が出てきて『都道府県警察と協力』などの文言が盛り込まれました。法案が現実味を帯びてきて(霞が関の)役人が表に出てきたということでしょう」

 この法案が国民を不幸にするのは間違いない。