【書評】 手紙や証言を吟味、着実な手続きで龍馬の志に推参 『龍馬の「八策」 維新の核心を解き明かす』

【書評】手紙や証言を吟味、着実な手続きで龍馬の志に推参
NEWSポストセブン2017.02.17 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20170217_492750.html

【書評】『龍馬の「八策」 維新の核心を解き明かす』/松浦光修・著/PHP新書/960円+税

【評者】平山周吉(雑文家)

 司馬遼太郎『竜馬がゆく』、NHK大河ドラマ『龍馬伝』などで創られた坂本龍馬像は、「戦争嫌いの平和主義者」「人間はいいけど学問がない」といったものだ。そうした龍馬像は戦後日本の規格に合わせて脱色されたものだとして、龍馬の「ものの考え方」から実像に迫ったのが本書である。

 著者は伊勢にある皇學館大学教授で、日本思想史の専門家である。吉田松陰や西郷隆盛といった幕末の「志士」、勝海舟や横井小楠といった「開明派」からの影響を確認しながら、龍馬の行動力と構想力が明らかにされる。

 龍馬の手紙や同時代の証言など、重要史料を巧みな現代語訳で紹介し、証拠をひとつひとつ吟味していく(巻末には五十八にも及ぶ重要史料の原文も掲載し、本格的である)。着実な手続きで、龍馬の「志」に推参しようとする。

 坂本家は代々学問好きの家であった。坂本家の家学は「国学(皇学)」だったので、江戸時代の武士の教養である漢学よりも、和歌や和文に通じていた。龍馬の手紙の生き生きとした描写や型破りな観察の拠って来たる所以は、そうした「ひらがな」の学問であった。

 おりょうとの新婚旅行を姉の乙女に報告した有名な手紙で、由緒ありげな「天狗の面のついた天の逆鉾」を龍馬は馬鹿にした。学者は「倫理や道徳に縛られない」近代的龍馬をそこに見るのだが、大間違いと著者は指摘する。龍馬の学んだ国学は「科学的」で「合理的」だったから、あやしい俗信は拒絶した。龍馬は「近世合理主義者」として、「神々を仰ぎ、皇室を尊ぶ」点ではふつうの「志士」であった。

 龍馬の読書でいえば、『新葉和歌集』を送ってくれ、と姉にねだり、『大日本史』一揃いを本箱ごと貸してくれと親友に頼んでいる。どちらも幕末の志士の必読書である。こうして著者は江戸時代に発達した「尊皇思想」史の中に龍馬を位置づける。日露戦争開戦の時に、龍馬は皇后の夢枕に白無垢姿で出現した。その不思議なエピソードを納得させる龍馬像である。

※週刊ポスト2017年2月24日号

『龍馬の「八策」』(PHP新書) 松浦光修著(PHP研究所 1,036円税込)


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【内容情報】(出版社より)
新しい国の姿を掲げた坂本龍馬。その思想は誰の影響で形成され、いかに日本を変えたのか。龍馬像、維新像を根本から覆す驚愕の書。


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PHP研究所
松浦 光修

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PHP新書 松浦光修 PHP研究所発行年月:2016年12月15日 予約締切日:2016年11月28


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商品基本情報
発売日: 2016年12月15日
著者/編集: 松浦光修
出版社: PHP研究所
サイズ: 新書
ページ数: 414p
ISBNコード: 9784569832678

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
坂本龍馬は、これまでいわれてきたよりも、もっと賢明で、もっと深みのある「志士」だった。そして、そのような龍馬をつくったものこそ、欧米の議会制度などをいち早く伝えていた驚くべき日本の知的伝統や、国学の合理主義、さらに「天皇の下での平等」という発想を基にした日本的民主主義であった。本書は、坂本龍馬を「思想史」的に辿り、龍馬や志士たちが何を考えていたのか、龍馬に影響を与えた思想はどのようなものだったか、そして、その考えが明治維新後の日本にいかなる影響を及ぼしたのかに迫る。明治維新と坂本龍馬への通念を鮮やかに覆す驚愕の書。

【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 二つの「八策」
第2章 「薩土盟約」のゆくえ
第3章 天皇と将軍の“立場”
第4章 天皇と土佐の人々
第5章 神々・皇室・龍馬
第6章 欧米の「議会」というもの
第7章 海舟・小楠・一翁
第8章 戦争と龍馬
付章 「王政復古」から「立憲君主制」へ

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
松浦光修(マツウラミツノブ)
昭和34年、熊本市生まれ。皇學館大学文学部を卒業後、同大学大学院博士課程に学ぶ。現在、皇學館大学文学部教授。博士(神道学)。専門の日本思想史の研究のかたわら、歴史、文学、宗教、教育、社会に関する評論、また随筆など幅広く執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)







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