名誉校長辞任でも終わらない “安倍晋三小学校”異様の全容

巻頭特集
名誉校長辞任でも終わらない “安倍晋三小学校”異様の全容
日刊ゲンダイ2017年2月25日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/200330


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当初は「安倍晋三記念小学校」になる予定だった(C)日刊ゲンダイ

 トンデモ理事長や役人のせいにして逃げるつもりなのか。鑑定評価額9億5600万円の国有地が、大阪市の森友学園に実質200万円で売却された問題。森友学園はこの土地に私立小学校を新設予定で、当初は「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金が集められていた。しかも、昭恵夫人が新設小学校の名誉校長に就任していたため、国民の疑惑の目は当然、安倍首相にも向けられている。

 24日の衆院予算委員会で、安倍首相は夫人が名誉校長を辞任したことを明らかにしたが、それで済む話ではないはずだ。

 安倍首相は24日の予算委で責任回避に終始した。寄付金集めに自分の名前が使われたことは「大変遺憾であり、残念であるという強い抗議をした」「大きな不信を持った」と被害者ヅラ。森友学園の籠池泰典理事長に対しては、「非常にしつこい中において」とか「教育者としてはいかがなものか」とまで言っていた。

 17日の予算委では、森友学園と籠池理事長のことを「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と持ち上げ、「私の考え方に非常に共鳴している方から、『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが断った」と同志愛を表明していたのに、わずか1週間で手のひら返しの迷惑顔だ。なんと軽い理念の共鳴かと驚いてしまうような変わり身の早さである。

■園児が「安保法制よかった」と宣誓

 籠池理事長は、安倍政権を支えるカルト的右派団体「日本会議」の大阪幹部だ。メディアの取材に対して安倍首相を「偉人」と称え、その一方では差別主義をまき散らし、ヘイト発言を繰り返してきた。森友学園が経営する塚本幼稚園では、子どもをトイレに行かせないなど幼児虐待の疑惑も浮上している。

「塚本幼稚園では、保護者に憲法改正への賛同署名を募っていたことも分かっています。明らかに、政治的活動を禁じた教育基本法に違反していますが、自分たちの極右路線と共鳴する安倍首相を崇め、憲法改正のためには何でもやる。批判しようものなら、ヘイトスピーチで対抗しようとするのが日本会議です」(ジャーナリスト・横田一氏)

 ベストセラー「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は、塚本幼稚園が撮影して配布した運動会のDVDの映像を見て、絶句したという。2015年に塚本幼稚園で行われた秋の大運動会の冒頭、選手宣誓で園児がこう言っているのだ。

「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相ガンバレ! 安倍首相ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです!」

 子どもたちはアンポの意味も分からず言わされているのだろうが、これも教育基本法に反する政治的活動に違いない。ここまでして安倍首相を応援してきた熱心な支持者も、利用価値がないとなれば、保身のためにあっさり切り捨てる。安倍首相の卑劣さが分かるというものだ。


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渦中の塚本幼稚園のHP(C)日刊ゲンダイ

「ウルトラ・ナショナリスト」に海外メディアも関心

「美しい国」「日本人の誇りを取り戻す」「戦後レジームからの脱却」――。安倍政権のキャッチフレーズは、すべて日本会議が元ネタだ。憲法改正や、集団的自衛権の行使解禁、愛国心教育もそう。この国有地払い下げ問題も、安倍政権と日本会議のいびつな関係を抜きには語れない。日本の大メディアは及び腰だが、海外メディアは重大な関心を示し、一斉に報じ始めている。英ガーディアン紙は森友学園を「レイシズムを主張するウルトラ・ナショナリスト教育機関」と断じ、森友学園の異様な教育方針や戦前回帰を望む日本会議のアナクロ思想、安倍首相との親密さにも踏み込んだ。

〈森友のカリキュラムは愛国心を園児に叩き込むものだ。皇室の肖像に向かってお辞儀をし、軍事基地の見学に行く。3~5歳の子どもたちは毎朝、国歌を歌い、天皇への忠誠と国への奉仕を求める教育勅語を暗唱する〉

〈籠池理事長は、日本会議――安倍首相を含め、彼の内閣の1ダース以上がそのメンバーで占められている超保守的な圧力団体――大阪支部リーダーである。日本軍がアジア解放のために戦ったと主張するこの団体は再軍備を訴え、米国に押し付けられた憲法によって大切な“国柄”が失われたと考えている〉

〈安倍昭恵と森友との関係は、名誉校長としての束の間の役割にとどまらず、長く深い。彼女が15年にその姉妹幼稚園を訪問した時の映像を見ると、保護者たちにこう話している。「私の夫も、ここの教育方針は素晴らしいと思っています」〉――。

 ウルトラ・ナショナリスト教育機関と、夫婦そろって共鳴していたはずなのに、昭恵夫人は名誉校長を辞任し、23日には森友学園のHPから「名誉校長 安倍昭恵先生 安倍晋三内閣総理大臣夫人」の挨拶も削除されてしまった。「隠蔽じゃないかと思った」と国会で野党議員が発言したところ、安倍首相はマジ切れ。

「隠蔽というのはですね、隠蔽というのは、隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか! 私がですね、私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!」

 よっぽど触れられたくない話なのか、「レッテル貼りだ!」「公共の電波の前で私を侮辱した!」「私と妻を侮辱した!」と早口でまくしたて、「(隠蔽の言葉を)取り消さないと答弁できない」とダダをこね、揚げ句に「まるで私が関与しているかのごとくイメージ操作を延々と、それしかないのでしょうけど、だからあなたたち(民進党)は国民からの信用を得られないんですよ」と、公共の電波の前で民進党を侮辱していた。

 まるで子どもだ。いっそ塚本幼稚園で教育を受け直した方がいいのではないか。幼児性丸出しのトップの醜態を見せつけられた国民は唖然ボー然である。

■ならず者集団とズブズブの政権

「問題の国有地売買に関わった財務省や国交省は、森友学園との交渉や面会の記録は破棄して残っていないと言っています。これでは隠蔽と疑われても仕方がありません。首相はすぐに『私や家内や事務所が国有地払い下げに関与していたら政治家を辞める』と逆ギレしますが、本来なら、不可解な土地取引の『真相を解明する』と宣言し、関係省庁に『調査に協力するように』と指示するのが行政府トップとしての役目でしょう。やましいことがないのなら、身の潔白を証明するためにも、首相自ら率先して真相解明に動き、国民の不信を払拭すべきです。それをしないのは後ろ暗いところがあるからではないか、首相と思想信条を共有する日本会議が関わっているから、異例ずくめの取引で便宜が図られたのではないかとみられるのは当然です」(横田一氏=前出)

 さすがに、国有地売買で安倍首相自身が口利きするようなバカな真似はしないだろう。ただ、安倍首相を熱烈に支持する日本会議が関わっているというだけで、無言の圧力になる。“政治案件”として周囲が忖度する。ヘイト発言を繰り返す学校経営者にも認可が下りてしまう。そういう空気が問題なのである。

 前出の菅野完氏が言う。

「日本会議の実態は、さほど巨大な権力ではない。例えるなら、30代でJC、40代でロータリー、50代でライオンズの壁を越えられなかったような人々が日本会議に行く。言うなれば“ならず者”の集まりです。集団に属する社会的欲求や、他者から認められたいという尊厳欲求を充足するのに、日の丸ほど便利なものはないからです。政権を牛耳るというような大それた意図がなかったとしても、不作為の積み重ねによるファシズムが顕在化してきた。それが現状ではないでしょうか」

 そういう“ならず者”集団が、首相と共鳴してズブズブになり、その一端が国有地払い下げ問題で発覚した。政権とカルト的右派集団の不気味な癒着が不問に付されるかぎり、同じようなことは必ずまた起きる。日本会議に乗っ取られた独裁政権下の国民はいいツラの皮ということになる。

「日本会議の研究」(扶桑社新書) 菅野完著(扶桑社 864円税込)


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「右傾化」の淵源はどこなのか?
「日本会議」とは何なのか?

市民運動が嘲笑の対象にさえなった80年代以降の日本で、めげずに、愚直に、地道に、
そして極めて民主的な、市民運動の王道を歩んできた「一群の人々」がいた。

彼らは地道な運動を通し、「日本会議」をフロント団体として政権に影響を与えるまでに至った。
そして今、彼らの運動が結実し、日本の民主主義は殺されんとしている。--

安倍政権を支える「日本会議」の真の姿とは? 中核にはどのような思想があるのか?
膨大な資料と関係者への取材により明らかになる「日本の保守圧力団体」の真の姿。


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基本情報
発売日: 2016年05月頃
著者/編集: 菅野完
出版社: 扶桑社
サイズ: 新書
ページ数: 302p
ISBNコード: 9784594074760

【目次】
第1章 日本会議とは何か
第2章 歴史
第3章 憲法
第4章 草の根
第5章 「一群の人々」
第6章 淵源

【著者情報】
菅野完(スガノタモツ)
著述家。1974年、奈良県生まれ。一般企業のサラリーマンとして勤務するかたわら執筆活動を開始。退職後の2015年より主に政治分野の記事を雑誌やオンラインメディアに提供する活動を本格させる。