現代ビジネス2010年12月21日掲載 舛添レポート 民主党執行部と小沢一郎氏陣営の主張
現代ビジネス2010年12月21日掲載 舛添レポート
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1767
本人たちと直接話した私なりに考える、民主党執行部と小沢一郎氏陣営の主張
赤信号が灯った「泥船」政権に乗ろうという野党はまずいまい
民主党執行部と小沢一郎氏陣営との対立が抜き差しならないところにまできている。双方が自らの主張を貫けば、妥協点を見いだすのは難しい。菅首相、小沢氏をはじめ、民主党の指導者たちと直接話す機会を持ったので、私なりに両者の主張を要約し、今後の展望について考えてみたい。
菅、岡田、仙谷氏ら執行部にとっては、年明けの通常国会の運営が最大の気がかりである。今の通常国会のねじれをそのままにしていたのでは、予算審議すらできなくなる。野党の協力を得るためには、どうしても政治とカネをめぐって小沢氏に国会で説明してもらいたい。
通常国会前に、この「最大の」(と執行部が考える)課題を解決しておきたい。そこで、岡田幹事長、そして菅首相が直接小沢氏と交渉ということである。
一方、小沢氏にとっては、国会審議が順調にいかないのは、菅首相が仙谷、馬淵両大臣に対する問責決議への対応をしてないからで、それが野党の審議拒否の原因である。したがって、両大臣を更迭して内閣を改造するのが先ではないか。
また、政倫審への出席を受け入れても、それで本当に野党が国会審議のテーブルにつくという保障はない。また、小沢氏の国会招致の件は、何も予算編成や税制改正で多忙な年末に持ち出す話ではなかろう。公明党の協力を得たいのなら、彼らが嫌う矢野絢也氏に勲章を授与したり、仙谷官房長官が矢野氏の息子を秘書にしたりする必要はないのではないか。
双方の主張とももっともである。両方実行するのが一番よい。しかし、今の状況ではそれは不可能に近い。まさに民主党内の権力闘争が行われているからである。
そして、最大の問題は、菅内閣の支持率が低下の一途を辿っていることである。先日の朝日新聞の世論調査では、21%にまで下がっており、このままの傾向が続けば、10%台に突入する可能性がある。
そうすれば、政権にとっては赤信号が灯ることになる。支持率の低い「泥船」に乗ろうという野党はまずいまい。公明党の対応が、それを象徴的に表している。
しかも、先の茨城県会議員選挙に見られるように、地方選挙は、小沢氏ではないが「連戦連敗」である。菅首相の下では、統一地方選挙は戦えないという声が地方議員から上がり始めている。民主党の地方議員の多くは、労働組合を基盤とする。連合が菅離れすることは十分に考えられる。
菅首相は、「指導力がない」という批判に答えるためなのか、決断力を見せつけるというパフォーマンスを始めたようである。法人税減税5%を決めたり、諫早湾の干拓事業で開門を決定したり、年金の物価スライドをやめることを仄めかしたり、沖縄を訪問したりしている。
国会閉会中は、野党にはマスコミの関心はないので、政府・与党が目立つ絶好の機会である。
しかし、菅総理のこれらの「決断」は、必ずしも期待したような成果を上げていない。たとえば、諫早湾の干拓事業である。漁民は喜んでも、営農中の農民は塩害の被害を免れない。だから、長崎県側が首相に抗議しているのである。政治の仕事は、対立する利害の調整である。
これでは調整どころか、さらに対立を激化させてしまう。沖縄訪問にしても、ヘリコプターで空から基地を視察しただけでは、沖縄の人々の心は分かるまい。泡盛を酌み交わし、胸襟を開いて対話する姿勢がないかぎり、普天間基地移設問題の出口は見えないであろう。
そして、この問題を解決することが、強固な日米関係を再構築する道であり、国家の安全保障を無視した政権は存続すべきではない。
まさに、朝鮮半島の緊張状態は続いており、また、中国の軍事力は増強され、その覇権指向は近隣諸国の懸念の的となっている。ロシアは、経済成長とともに、北方領土の経営に本格的に乗り出しており、実効支配を強めている。
このような国際環境を考えれば、民主党内で権力闘争などしている暇はないはずである。通常国会開幕までに、菅首相が真の決断力を発揮することが不可欠である。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1767
本人たちと直接話した私なりに考える、民主党執行部と小沢一郎氏陣営の主張
赤信号が灯った「泥船」政権に乗ろうという野党はまずいまい
民主党執行部と小沢一郎氏陣営との対立が抜き差しならないところにまできている。双方が自らの主張を貫けば、妥協点を見いだすのは難しい。菅首相、小沢氏をはじめ、民主党の指導者たちと直接話す機会を持ったので、私なりに両者の主張を要約し、今後の展望について考えてみたい。
菅、岡田、仙谷氏ら執行部にとっては、年明けの通常国会の運営が最大の気がかりである。今の通常国会のねじれをそのままにしていたのでは、予算審議すらできなくなる。野党の協力を得るためには、どうしても政治とカネをめぐって小沢氏に国会で説明してもらいたい。
通常国会前に、この「最大の」(と執行部が考える)課題を解決しておきたい。そこで、岡田幹事長、そして菅首相が直接小沢氏と交渉ということである。
一方、小沢氏にとっては、国会審議が順調にいかないのは、菅首相が仙谷、馬淵両大臣に対する問責決議への対応をしてないからで、それが野党の審議拒否の原因である。したがって、両大臣を更迭して内閣を改造するのが先ではないか。
また、政倫審への出席を受け入れても、それで本当に野党が国会審議のテーブルにつくという保障はない。また、小沢氏の国会招致の件は、何も予算編成や税制改正で多忙な年末に持ち出す話ではなかろう。公明党の協力を得たいのなら、彼らが嫌う矢野絢也氏に勲章を授与したり、仙谷官房長官が矢野氏の息子を秘書にしたりする必要はないのではないか。
双方の主張とももっともである。両方実行するのが一番よい。しかし、今の状況ではそれは不可能に近い。まさに民主党内の権力闘争が行われているからである。
そして、最大の問題は、菅内閣の支持率が低下の一途を辿っていることである。先日の朝日新聞の世論調査では、21%にまで下がっており、このままの傾向が続けば、10%台に突入する可能性がある。
そうすれば、政権にとっては赤信号が灯ることになる。支持率の低い「泥船」に乗ろうという野党はまずいまい。公明党の対応が、それを象徴的に表している。
しかも、先の茨城県会議員選挙に見られるように、地方選挙は、小沢氏ではないが「連戦連敗」である。菅首相の下では、統一地方選挙は戦えないという声が地方議員から上がり始めている。民主党の地方議員の多くは、労働組合を基盤とする。連合が菅離れすることは十分に考えられる。
菅首相は、「指導力がない」という批判に答えるためなのか、決断力を見せつけるというパフォーマンスを始めたようである。法人税減税5%を決めたり、諫早湾の干拓事業で開門を決定したり、年金の物価スライドをやめることを仄めかしたり、沖縄を訪問したりしている。
国会閉会中は、野党にはマスコミの関心はないので、政府・与党が目立つ絶好の機会である。
しかし、菅総理のこれらの「決断」は、必ずしも期待したような成果を上げていない。たとえば、諫早湾の干拓事業である。漁民は喜んでも、営農中の農民は塩害の被害を免れない。だから、長崎県側が首相に抗議しているのである。政治の仕事は、対立する利害の調整である。
これでは調整どころか、さらに対立を激化させてしまう。沖縄訪問にしても、ヘリコプターで空から基地を視察しただけでは、沖縄の人々の心は分かるまい。泡盛を酌み交わし、胸襟を開いて対話する姿勢がないかぎり、普天間基地移設問題の出口は見えないであろう。
そして、この問題を解決することが、強固な日米関係を再構築する道であり、国家の安全保障を無視した政権は存続すべきではない。
まさに、朝鮮半島の緊張状態は続いており、また、中国の軍事力は増強され、その覇権指向は近隣諸国の懸念の的となっている。ロシアは、経済成長とともに、北方領土の経営に本格的に乗り出しており、実効支配を強めている。
このような国際環境を考えれば、民主党内で権力闘争などしている暇はないはずである。通常国会開幕までに、菅首相が真の決断力を発揮することが不可欠である。


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